キョーコが奏江に連れられていき、着替えと身支度を整えて戻ってきた。社はその間に二人の退院の事務手続きをすませておいた。帰る間際に蓮とキョーコはそれぞれ主治医の診察を受けて、退院の運びとなった。
ナースステーションに挨拶に行った時、蓮はやたらと看護士たちに握手を求められた。困惑しながらもそれを表面には出さずに柔らかく対応する蓮を見て、社も奏江も乾いた笑いを浮かべていた。キョーコだけはオロオロとしていた。が、看護士の一人に「京子さん、握手してください」と声をかけられてその手を取った時、キョーコは京子の笑顔で穏やかに接していた。その姿に社と奏江は勿論、蓮までみとれてしまうほど、キョーコは美しい女性だ。
迎えに来ていたリムジンはあまりにも大きくて、四人は乗り込むのにかなりの勇気を必要とした。ふかふかのソファにシャンデリア、バーカウンターまである。これなら追突事故にあったばかりのキョーコも怖いとは思わずにいられるのではないかと思えたし、実際にキョーコは恐怖を感じなかった。キョーコが恐怖を感じなかったのは車の大きさとその現実離れした環境に驚いたからではなく、今のキョーコにとって絶対的な存在である蓮が隣にいて、ずっと触れていられるからだ。服の裾を引っ張っても蓮は怒らない。それどころか、裾をひっぱったキョーコの手に蓮は自分の手を重ねた。驚いて、少し身体を震わせたキョーコが恐る恐る見上げると、そこには全てを溶かしてしまいそうな程の甘々しい笑顔があって、恥ずかしさにキョーコは俯いてしまう。蓮はキョーコの手に重ねていた手を離し、驚いてまた見上げてくるキョーコの肩にその手を回して引き寄せてしまった。
「目的地まではまだ時間がかかるから。」
「…はい。」と素直に蓮の胸の中に収まるキョーコを蓮が愛しそう見る蓮。
向かい側のソファに座る二人はその光景にいたたまれずため息の零すしかなかった。
♪ぎゅるぎゅるぎゅる~♪
突然の大音量に蓮、社、奏江は驚いて音の所在を探してキョロキョロする。
しかし、そんなものは見当たらない。
♪ぎゅるぎゅるぎゅる~♪
一段と大きな音がする。まだ音の出所を探していると、耳まで真っ赤にしてうつむいているキョーコがいた。
「「「もしかして…」」」
「………はい」
消え入りそうなその返事に三人は笑いが堪えられない。キョーコは恥ずかしさでさらに体中を真っ赤にしてしまう。
社の提案で昼食に寄り道する事になった。
ナースステーションに挨拶に行った時、蓮はやたらと看護士たちに握手を求められた。困惑しながらもそれを表面には出さずに柔らかく対応する蓮を見て、社も奏江も乾いた笑いを浮かべていた。キョーコだけはオロオロとしていた。が、看護士の一人に「京子さん、握手してください」と声をかけられてその手を取った時、キョーコは京子の笑顔で穏やかに接していた。その姿に社と奏江は勿論、蓮までみとれてしまうほど、キョーコは美しい女性だ。
迎えに来ていたリムジンはあまりにも大きくて、四人は乗り込むのにかなりの勇気を必要とした。ふかふかのソファにシャンデリア、バーカウンターまである。これなら追突事故にあったばかりのキョーコも怖いとは思わずにいられるのではないかと思えたし、実際にキョーコは恐怖を感じなかった。キョーコが恐怖を感じなかったのは車の大きさとその現実離れした環境に驚いたからではなく、今のキョーコにとって絶対的な存在である蓮が隣にいて、ずっと触れていられるからだ。服の裾を引っ張っても蓮は怒らない。それどころか、裾をひっぱったキョーコの手に蓮は自分の手を重ねた。驚いて、少し身体を震わせたキョーコが恐る恐る見上げると、そこには全てを溶かしてしまいそうな程の甘々しい笑顔があって、恥ずかしさにキョーコは俯いてしまう。蓮はキョーコの手に重ねていた手を離し、驚いてまた見上げてくるキョーコの肩にその手を回して引き寄せてしまった。
「目的地まではまだ時間がかかるから。」
「…はい。」と素直に蓮の胸の中に収まるキョーコを蓮が愛しそう見る蓮。
向かい側のソファに座る二人はその光景にいたたまれずため息の零すしかなかった。
♪ぎゅるぎゅるぎゅる~♪
突然の大音量に蓮、社、奏江は驚いて音の所在を探してキョロキョロする。
しかし、そんなものは見当たらない。
♪ぎゅるぎゅるぎゅる~♪
一段と大きな音がする。まだ音の出所を探していると、耳まで真っ赤にしてうつむいているキョーコがいた。
「「「もしかして…」」」
「………はい」
消え入りそうなその返事に三人は笑いが堪えられない。キョーコは恥ずかしさでさらに体中を真っ赤にしてしまう。
社の提案で昼食に寄り道する事になった。