サイドキョーコ

「そんなにいじめないでやってください。彼女まだこの状況に困惑してしまっているんですよ。まだ精神的に不安定みたくて放っておけないんで、俺も検査に付き添ってかまいませんか?」
敦賀さんが看護士さんの視線から私を庇う位置に立って、そう言ってくれる。私は敦賀さんの服の裾を掴んでいた手にまた少し力を入れて握ってしまった。その事に気付いた敦賀さんが私に振り返り、「大丈夫、ちゃんと傍にいるからね。」といいながら、服をつまんでいる私の手に手を添えてくれる。すっと力が抜けた私の手を服から離し、そのまま両手で包むように持ち直して、屈んで私を下から上目遣いで見上げてくる。その視線にドキドキするけど、嫌なドキドキじゃない。ただ、顔が熱くなる。耳まで熱くなって、きっと私は今、ゆでダコみたく真っ赤なんだろうなと思うと、より一層恥ずかしくて俯いてしまった。そんな私の頭をまた優しく撫でてくれる敦賀さん。
ん?
これってもしかして子供扱いなのかも?
ちょっぴりかなしくなった。それでも私の顔を覗き込んでくる敦賀さんと眼があって、思わずその視線を逃れてそっぽを向いてしまった。

看護士さんがスクッと笑った後、「車椅子持ってきますね。敦賀さんも体調悪くなければ付き添ってくださって結構ですよ。京子さんは本当に素敵な彼氏が傍にいてくれてお幸せですよね。羨ましいな。」
その言葉に「えっ!?」と私は声に出してしまった。敦賀さんも同時に。そして改めて敦賀さんと眼があって…。敦賀さんの顔も心なしか赤かった…ような気がする。