サイドキョーコ

私は夢を見ていた。多分寒い季節ではなかったと思う。でも、私はたくさん服を着込んでいた。重い服、分厚い服、大きな服…。そして、それらを着込んだままどこへともなく歩いていた。
歩いている途中、躓いた。その時、一番上に羽織っていた大きなコートがはらりと落ちた。
『あれ?少し体が軽くなった?』
そんな感覚を確かめようと、その下に来ていた分厚い上着を脱いでみた。
『あ…、やっぱり体が軽くなった!』
それならと、たくさん着込んで着ぶくれしてしまうほどだった服をどんどん脱ぎ捨て始めた私。夢中で次々脱いでいく。
ヒューっと冷たい風が吹いて、寒さに身体を堅くした。気付くと私は一糸まとわぬ生まれたままの姿に。今まで服を脱ぎ捨てる度に体が軽くなっていたのに、急に心細くて泣きたくなった。
周りをキョロキョロと見回してもさっき脱ぎ捨てた服は一枚も見当たらない。私は急に怖くて、寒くて、その場にしゃがみこんで自分の身体を抱きしめる。身体が小さく震えている。
怖い、怖い、怖い…。しゃがみかんで俯いたまま、涙が溢れてきて頬を伝う。
その頬に温かい感覚を覚えてびっくりして、慌てて顔を上げた…。