キングサイズのベッドに彼女に言われた通りに横になり、軽く目を閉じてさっきまでの事を振り返る。突然熱が出たり、身体中がだるくて何をするのも億劫になるのは嬉しくはないけれど、彼女が側にいて世話をしてくれたりするのなら、こういうのも悪くはないと、つい顔が緩むのを抑えきれない。俺はもう彼女なしでは生きていけないくらいに彼女に惚れてしまっているようだ。恋とは恐ろしい病気だな。

ドアが控えめに開けられ、彼女がそっと顔を出す。『起きてらっしゃったんっすか?』と小声で尋ねる彼女。『君が居ないと眠れない。』と言う俺を恨めしそうに睨んで、それでも、そっと部屋に入ってきてくれた。ポンポンと手でベッドの上を叩いて座るように促したが、彼女は側にあった椅子に腰かけてこちらを見ている。『こっちに来てはくれないの?』とわざと哀しい眼で見上げると彼女の動揺が手に取るように解る。『破廉恥ですぅ!』とそっぽを向いて唇を尖らせる彼女。『兄妹を演じた時のように一緒にいてくれないかな?』そんな台詞に彼女はますます動揺する。後一押しだ。
もう一度ベッドを手で叩き、「おいで」と言った。その一言に彼女の肩がビクッと跳ねて、彼女はふらふらと立ちあがり、俺のベッドの隅にちょこんと腰を降ろした。俺は彼女の側までコロコロと寝返って近づいて座っている彼女に後ろから絡み付いた。彼女の体温を感じ、香りを胸いっぱいに吸い込む。うん、幸せだ。
『敦賀さん、ちゃんと眠ってくださいね。』と彼女の手が俺の頭をそっと撫で始める。凄く気持ちいい。