かなり忙しいスケジュールをこなして俺は帰路についた。社さんを部屋の前で降ろし、『明日はやっと1日オフだからゆっくり休めよ。昼食はラブミー部に頼んであるから。』とにんまり手を振られ、『ありがとうございます』と軽く頭を下げてから車を走らせた。

部屋に着くとなんとなくいつもより頭が重い気がした。時計を見るとそろそろ日付が変わりそうだ。俺はサッとシャワーを浴びてミネラルウォーダーを飲み、リビングのソファに身を委ねた。体が怠い。上手く思考が回らない。どうしたんだろう…。

ぼんやりしていると、鈴が鳴るような可愛い声が耳に届く。
『…さん、敦賀さん?』
『…えっ?』と意識を浮上させると、ここには居るはずのない、愛しい彼女の顔があった。
『あれ?最上さん、なんでここにいるの?』と尋ねると、『お夕食のお世話を頼まれたじゃないですか?』とにこやかに答えが返ってくる。それは明日の話じゃなかったっけ?

そう思いながらまたぼんやりしてきた思考と意識を俺はあっさり手放した。

なんだかからだがふんわり暖かいものに包まれているような気がした。寒かった訳ではない。でも、暖かくなってとても心地いい。そんな心地よさにもう少しこのまま浸っていたいと思っていたら、また彼女の可愛い声が耳に届く。
『敦賀さん、気分悪くはないですか?』
その問いかけに少し驚いて目を開けると、彼女の心配そうな表情が視界いっぱいに飛び込んできた。