最上さんの持ち物にはしゃぎながら「可愛い」だの「懐かしい」だの、和気あいあいと進んでいくコーナー。最上さんだけが手荷物検査を受けるような神妙な面持ちで対応している。あの動揺した表情もなかなか可愛いと思うのは俺の欲目だろうか。
『あ、これ、京子ちゃんには珍しいかも』という北山さんの声に司会者、藤崎さん、最上さんがそちらを見る。勿論カメラはその珍しい持ち物をズームアップする。
一瞬俺の心臓がトクンと跳ねた。あれはこの前俺がホワイトデーに彼女にあげたお古のキーケースではないか!
ちゃんと使ってくれてるんだと思うと、自分が笑み崩れてくるのを実感してしまう。やばいっ(;^_^A
サングラスと帽子に盛大に感謝する。

『えと、それは頂き物で、小さめだから持ちやすいからって下さったんです。』と手渡されたキーケースを大事そうに両手で握りしめ、顔を赤くする最上さんを今すぐそのまま抱き締めたいと思っても仕方ないだろう。
周りの三人はそのキーケースが彼氏がからのプレゼントだと思ったようだ。その勘違い、俺も一口乗りたい。
ノロケ話と言われ焦って否定する最上さんも可愛いんだけど、その赤い顔じゃ肯定しているようにしか見えないよ。いや、是非とも肯定してくれないかな。

そのコーナーはこれから始まるドラマの番宣だったので、ドラマの役柄で実際に使った物を視聴者プレゼントにしていた。俺は携帯電話を取り出し、応募方法をチェックする。そこへタイミングよく社さんが戻ってきた。