そして、ホワイトデー当日がやってきた。

ラブミー部で事務仕事をしていると、リズミカルなノック音。応答すると『お邪魔するよ』と大先輩が扉を開けて入ってこられた。

『敦賀さん、おはようございます。』
『最上さん、おはよう。移動までに時間があったから寄ったんだ。社さんが迎えにくるまでここで休憩させてもらってもいいかな?』
『どうぞ、殺風景な部屋ですが、ゆっくりして行ってください。あ、お茶淹れますね。』
ハーブティーを淹れ、甘さ抑え目のクッキーを小さなお皿に乗せてお出しした。
『ありがとう。最上さんが淹れてくれるお茶はいつも美味しいからね。』ハーブティーを一口口に含んで、ゆっくり味わうように喉に流す。そんな仕種も絵になる敦賀さん。本当に綺麗だわ。
『俺の顔になんかついてる?』見つめすぎてたみたい、慌てて目線を外して、下をむいてしまった。『いえ、絵になるなぁと思いまして…』顔が一気にあつくなる。
『クスッ、ありがとう。でも、照れるよね。』
その言葉に顔を上げると甘々しい笑顔とぶつかった。鼓動がこれでもかというほどはねあがる。

『クスッ。この前最上さんからリクエストがあった俺の私物なんだけど、気に入ってもらえるかどうかは解らないけど持ってきたよ。』
えっ、本当に持ってきてくださったんだ!
どうしよう、なんだかその言葉だけで凄く嬉しい。なんだか涙が滲んできた。

『じゃぁ、片手だしてくれるかな?』