私は窓辺の椅子に座ってぼんやりと昼下がりの午後を過ごしていた。小春日よりの日溜まりの中、うとうととまどろんでいたみたい。夢を見た。夢か現かよく解らないような感じで。
私は一人、ぽつんとそこにいた。周りの景色はよく解らない。何もかもが曖昧でぼやけた世界に一人、取り残されているように感じて、凄く不安になる。キョロキョロともう一度周りを見回すけれど、確かなものなど何もない。なんの音も聞こえない、空気の流れさえも感じない、空ろで孤独な世界。あぁ、私は空っぽな人間だからこんな世界が居場所なのが丁度いいのかもしれないと、妙に納得したりして…。
どのくらい時間がたっただろう。なんとなく空気が動いた気がした。まさか、そんな事、ここではあり得ないと直感的に否定している私。何もかもが空ろで不確かな空間だったはずなのに、ぼんやりとしていた周りの景色がはっきりと見え始めた。この変化は私にはとても怖い事だ。必死に気のせいだと自分に言い聞かせる。
それでも変化は容赦なく続き、私の周りの全てが形を持ち、色を持ち、確かなものとしてそこにあるのだという事を私は受け入れなければいけなくなる。
『怖い。怖い。怖い。怖い。』両手で耳を塞ぎ、目を固く積むって小さくうずくまり、必死に自分の中に引きこもろうとする。
『怖い。怖い。怖い。怖い。』
身体が震えて止められない。
私の肩に何かが触れた。触れた瞬間体が跳ねたが、その感触が嫌ではない事に気づくのに、そんなに時間はかからなかった。触れたものがほんのりあったかい事に気づく。そして、すごく柔らかい香がした。微かに、でも、文句なしに安心出来る薫。
強く耳を押さえていた手を緩め、肩に触れているものを確かめようとゆっくり目を開けて肩口をみた。整った指先、人の手だ。不思議と怖さは感じない。その手の持ち主を確かめたくて私はゆっくりと顔を上げる。
うすぼんやりとした視界。重たい瞼を持ち上げると漆黒の瞳とぶつかった。その瞳は私と目が合うと一瞬驚いたように見開かれ、また穏やかに細められる。
『…つ…るが…さん?』なぜ貴方がここにいるのか?
そしてなぜか視界が歪む。なんだかよく解らないけれど、安心したら涙が溢れてきた。
私は一人、ぽつんとそこにいた。周りの景色はよく解らない。何もかもが曖昧でぼやけた世界に一人、取り残されているように感じて、凄く不安になる。キョロキョロともう一度周りを見回すけれど、確かなものなど何もない。なんの音も聞こえない、空気の流れさえも感じない、空ろで孤独な世界。あぁ、私は空っぽな人間だからこんな世界が居場所なのが丁度いいのかもしれないと、妙に納得したりして…。
どのくらい時間がたっただろう。なんとなく空気が動いた気がした。まさか、そんな事、ここではあり得ないと直感的に否定している私。何もかもが空ろで不確かな空間だったはずなのに、ぼんやりとしていた周りの景色がはっきりと見え始めた。この変化は私にはとても怖い事だ。必死に気のせいだと自分に言い聞かせる。
それでも変化は容赦なく続き、私の周りの全てが形を持ち、色を持ち、確かなものとしてそこにあるのだという事を私は受け入れなければいけなくなる。
『怖い。怖い。怖い。怖い。』両手で耳を塞ぎ、目を固く積むって小さくうずくまり、必死に自分の中に引きこもろうとする。
『怖い。怖い。怖い。怖い。』
身体が震えて止められない。
私の肩に何かが触れた。触れた瞬間体が跳ねたが、その感触が嫌ではない事に気づくのに、そんなに時間はかからなかった。触れたものがほんのりあったかい事に気づく。そして、すごく柔らかい香がした。微かに、でも、文句なしに安心出来る薫。
強く耳を押さえていた手を緩め、肩に触れているものを確かめようとゆっくり目を開けて肩口をみた。整った指先、人の手だ。不思議と怖さは感じない。その手の持ち主を確かめたくて私はゆっくりと顔を上げる。
うすぼんやりとした視界。重たい瞼を持ち上げると漆黒の瞳とぶつかった。その瞳は私と目が合うと一瞬驚いたように見開かれ、また穏やかに細められる。
『…つ…るが…さん?』なぜ貴方がここにいるのか?
そしてなぜか視界が歪む。なんだかよく解らないけれど、安心したら涙が溢れてきた。