俺、敦賀蓮。巷では若手実力派俳優、芸能界一いい男、抱かれたい男No.1などと、肩書きが独り歩きしているが、結局のところ中身は普通に二十歳の男子なんだ。
あの子に会うだけでその日1日が上手くいくような気がするし、疲れも感じなくなる。あの子と交わした短い会話がずっと頭の中でリフレインする、あの子から貰ったものはいつも身近に置いておきたいし手放すなんて絶対に出来ない、あの子の表情や仕草に一喜一憂する、無様なほどにあの子にだけ翻弄される情けない男なんだ。

俺にだってプライドもあるし、立場的に問題があるからそんな自分を表面上はおくびにも出さないんだけどね。

今日も俺の戯れにころころ百面相するあの子に会える。手を伸ばせば届く距離にあの子を感じて、あの子と同じ時間を過ごして、あの子と同じものを観て聴いて…

そんな毎日が俺の小さな幸せなんだ。