彼はワイシャツにジャケット
細身のパンツ
黒い靴下と革靴
私は襟付きシャツにニット
スカート、黒タイツ
ヒールのある靴
カバンはいつものボロリュックではなく
A4が入るきちんとしたカバンで。
私の親に何と挨拶したらよいか
本当は電車内で調べる予定
だったそうだが
急遽車に変更したから
助手席の私が代わりに調べた。
いくら再婚する相手の親への挨拶
だとはいえ
ぶっつけ本番だよな…?
大丈夫なのかw
さらに前日の夜は
夜更かししていたらしい。
なんと電車の中で寝るつもりで
明け方まで起きていたと言うw
車移動だと眠れないけど
事故らないでくれ頼む
実家に到着。
インターホンを押そうとすると
隣の家のマダムがバルコニーで
洗濯物を干しているのが見えた。
やべ、見つかっちゃった、、、
多分結婚の挨拶に来た
ってわかっただろうな、
10秒くらいガン見された
昔からかなりお世話になっている
マダムではあるが
母親としては
mikaちゃん結婚するの??
この前彼氏と来てたよね?
お祝い贈らなきゃー!
なんて話が近隣住民に
秒で回るのが嫌らしい
実家のインターホンを押すと
我が家の老犬が狂ったように
吠え始めた。
家に上がって手土産を渡す。
今我々が住んでいる辺りで
採れる作物を使った
オリジナリティ溢れる
和菓子の詰め合わせ。
近所の和菓子屋で購入。
親が緑茶と一緒に出してくれた。
その後、4人で昼食。
寿司とピザどっちがいい?
と前もって聞かれていたが
どちらでも良いと言ったら
寿司だった。
出前のピザではなく
それなりに良さそうな寿司
(スーパーで購入したらしいけど美味しかった)
&母親の手料理だったのは
実家なりのおもてなしだろう
と判断した。
食後に冷蔵庫から出してきた果物を
剥け!
と言いながら
包丁とまな板を私に雑に渡す母。
果物を剥き終わった辺りで
母親が席を離れた。
キッチンで作業をしているようだ。
テーブルに残された私と彼と父。
本題に入るなら今だ、
と思った私は
机の下で彼の足を小突いた。
ここで母親が席に戻ってきた時が
タイミングだと思った。
しかし足を小突いてから
3秒もしないうちに
父親が立ち上がり
リビングから消えた。
父よ、
あなたは昔から
肝心な時に居ない上に
雨が降る日に限って自転車で出かけて
ずぶ濡れになって帰ってくるような
タイミングの悪い人間なのは
わかっていたよ
普段は食事を終えると各々食器を下げ
即自室に戻るというのが
我が家の暗黙のルールであるが
頼む、
今日だけは空気を読んでくれ………。
ハラハラな展開に
私まで緊張して
脇が汗ばんできた。
続きます。