意識を深掘りする-その92「精神医学と心の哲学」 | 問題意識の教材化(MIK)ブログ

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今日の一日一読は第3章「臨床医学への応用」の「一 精神医学」でした。前回までの「心身問題」を実践的に深めていくために河村先生は臨床医学の領域のテーマと関連づけていました。


意欲的な内容だと感じる一方で、学問の現実としては「精神医学は、臨床医学の中でも歴史が浅いがゆえに完成度が低く、いろいろな問題を抱えた未熟な分野である」(40ページ)とみなされています。この認識自体にすでに大きな問題を抱えているように思えますが、そこに河村先生の問題意識はあまりなさそうで、むしろ、心の哲学の既存の学術に対する優位性を指摘するだけにとどまっている印象でした。


精神病と呼ばれているのは、私たちが健全であると定義したものから逸脱していると見なすから成り立つものであるとすると、そもそもその意識の問題性を問い直すことをしていかねば、真の意味で全体性を取り戻すことにはならないのではないかと感じています。その点に関しては、最新の専門分野からの気づきの方が多いように思えています。本来、全体性を目指せるはずの哲学が取り残されてしまっていないかということを誰かが問うていく必要があると思えてきました。