量子力学から何を学ぶかを深掘る_その65「内蔵秩序と顕前秩序」 | 問題意識の教材化(MIK)ブログ

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今の「学び」を「〇〇のため」で終わらせずに、「〇〇とともに」にしていくために、問題意識を教材化して、日本の教育システムで閉ざされたものを開き続けます。



今日の一日一読は第五章の最後までと第六章「量子論は物理学における新たな秩序を示唆する」でした。第五章の最後は量子論がどのような秩序を生み出したかが考察されており、第六章でさらに詳細な考察がなされていました。


特に注目したのは本書のタイトルにも書かれている「内蔵秩序」です。

「「陰伏的 implicit」 という語は、「内蔵する implicate」 という動詞から出ている。後者の意味は「内側に包む」 (乗法 multiplication が何重にも包むを意味するように)ことである。それゆえ何らかのいみで、全体の構造が各領域のうちに「包み込まれ enfolded」 て含まれる、ということを表現する概念が求められてしかるべきであろう。」(258ページ)


なぜボーム氏が「内蔵秩序」に着目するかというと、「従来の物理法則は主として顕前秩序(explicate order)について立てられたものであった」(259ページ)からです。「じっさいデカルト座標の主要機能は、まさにこの顕前秩序に明瞭かつ精確な記述を与えたことだと言ってよい。 それにたいしわれわれは、物理学の法則が本来まず内蔵秩序について定式化されるべきであり、顕前秩序は(古典物理学が発達した後のアリストテレスの運動概念と同様)二次的な意義を持つべきだと提案しているのである。」(同上)


この内蔵秩序は顕前秩序よりも全体性を含んでいるとしても、それを絶対視してしまうと本当の意味での全体性とは言えないことも重要な点でした。


外へ外へと答えを求めるのではなく、内へ内へと深めていくという方向性が物理学で示唆されていたことが興味深いです。