少し前の記事で、ギブソン社のセミアコやフルアコ(アコースティックボディーのエレキギター)について触れましたが、そのシリーズの中に、今も高値で取引されているビンテージ・ギターが有るのをご存知でしょうか?
 
 中でも取り分け有名なのが、「ジョニー・スミス」。レスポール同様、当時の凄腕ギタリストの名を冠したモデルなのですが、その高い知名度とは裏腹に、ご本人や作品については、殆ど知られていないのが実情。
 
 
 それじゃあ、という事で、本日はジョニー・スミスの名盤「ヴァーモントの月」を聴きながら、彼の音楽について“あーデモ&コーでも”してみたいと思います!
(^^♪
 
 
 

Moonlight in Vermont
 
 
*フルアルバムは、コチラ!

 


https://youtu.be/18RU6lzQpeE

 

 
01.Where Or When
02.Tabu
03.Moonlight In Vermont
04.Jaguar
05.Sometimes I'm Happy
06.Stars Fell On Alabama
07.Nice Work If You Can Get It
08.Tenderly
09.Jaguar(alternate take)
10.Ghost Of A Chance
11.Vilja
12.My Funny Valentine
13.Yesterdays
14.Cavu
15.I'll Be Around
16.Cherokee
 
1952~1953
 
 
 
 
 如何でしょうか? 
 いやいや、実に見事なテクニックですよね。ギターはまったくの独学ながら、ジャンゴ・ラインハルトの奏法を洗練させ、さらに抒情性を加味したそのスタイルは、まさに彼ならではのもの。そこから生み出されるメロディアスなフレーズと、揺らぎをたたえたサウンドは、聴き手の心を魅了せずにはおきません。。
 
 特筆すべきは、ジョン・スミスの作品の多くがブルージーな色合いを帯びていること。これはおそらく、彼の音歴が、ヒルビリー・バンドに端を発しているからだと思われます(ヒルビリーというのは、カントリー・ミュージックの一種で、主に山間部に住む人達によって受け継がれて来た音楽。カントリーより素朴で、アーシーな味わいがるのが特徴)。
 
 興味深いのは、アメリカでは人々の心に郷愁を呼ぶカントリーが、日本においてはむしろ不人気の原因になりかねないこと。これはそのまま、日本におけるカントリー・ミュージックの受け皿が如何に狭いかを物語るものだと思います(例えばジャズやロックのビックスターの名は何人でも挙げられますが、いざカントリーは?、となると、私を含めた殆どの方は、ジョン・デンバーぐらいしか思いつかないのではないでしょうか)
^^;
 

 それでは作品の方に入って参りますが、まずお伝えして置きたいのは、本作では三人のテナー奏者が、曲によって別々にフューチャーされていること。その順番を挙げておきますと、01~08がスタン・ゲッツ、09~12がズート・シムズ、13~16がポール・クイニシェットとなっていて、この名手達のテイストの違いを、一つのアルバムでじっくり味わうことができるのも、本作ならではだと思います。
 
 して、お次はタイトル曲の「ヴァーモントの月」。長く親しまれて来た名曲だけに、曰くやエピソードには事欠かないようですが、私が面白いと思ったのは、作詞のジョン・ブラックバーンも、作曲のカール・スースドルフも、この曲を大ヒットさせた歌手のマーガレット・ホワイティングも、実はヴァーモント州には縁もゆかりもない人達なんですね。
(・・;)
 
 もっとも、ブラックバーンだけは何某かの係わりはあったようですが、ロサンゼルス出身のホワイティングに至っては、雪すら見た事がなく(笑)、歌詞の中のある単語のイメージがつかめず、ブラックバーンに別の単語へ置き換えてもらったのだとか。しかしそれが功を奏して、雪の無い地方でもこの曲が愛聴されるようになったわけですから、勿怪の幸い、と言うべきでしょうか。
(^^)
 
 
 
≪オマケ!≫
 せっかくなので、雪を見たことが無かったマーガレット・ホワイティングが歌う「ヴァーモントの月」も、ドウゾ!
(^^)
 
 
 
では、また!
(^^)/