一瞬の濃さって、いつも同じじゃない。
恐ろしいぐらい純粋に凝縮された瞬間が存在する。
と、
エビのカレーを食べながら、思う。
1年に3回ぐらい、エビだけのカレーを作る。
エビだけ。
他には何も入ってない。
ルーはスパイスと小麦粉から自分で作る。
これは、ある人へのオマージュ。
儀式みたいなもの。
極限まで凝縮された瞬間が存在することを忘れないために。
世界のエッセンスが、宇宙のエッセンスが、
突然目の前にクリアに認知可能なものとして現れる瞬間があることを忘れないために。
人生の不可思議な魔法と必然を忘れないために。
これは、それを身を以て体現してくれたある人へのオマージュなのです。
その瞬間って、ほんの一瞬。
(セックスじゃないよ〜)
それは、ことば。
ありがとう、の一言。
でした。
その時、その場で、私を含めてすべてのものがその状態であることへの承認と感謝なのでした。
それで。
その人がたった一度だけ作ってくれたのがエビのカレー。
その人に会ったのは、3回だけ。
4回目に会いたくてその人を訪ねた時
その人は生きる場所を変えていた。
永遠にその人を失ったショックと痛み。
人生で2回目にして私は狂った。
数ヶ月の放心と狂気の日々。
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理性では理解できないこと、説明できないことってあるよね。
まるで、違う次元の世界が突然この世界に間違って入って来ちゃったみたいに。
そういうものがあるっていうこと、起こりうるっていうこと
そんなことを常に心の何処かで覚えておきたいと思います。
そのために、
ときどき海老のカレーを作るのです。
一人の夜に。