私の両親は築30年の小さなマンションの大家をしていて、数年前までそのマンションの一階で飲食店を長年営んできました。

今は隠居して家賃収入と年金で暮らしています。
一年前、私が実家に戻ってきて、夏頃に仕事を辞めてから、本格的に事業を引き継ぐ流れになってきました。
 
職業訓練校で不動産の事を少し勉強して、マンションの経営に関して両親があまりにも無頓着だった事を知り、学校でお世話になった行政書士の先生に、まずは何から始めたらよいか、相談することにしました。
 
問題点が山積みで、自分が事業を引き継ぐことに不安を感じて、兄弟もいるのになんで自分だけ背負わないといけないかと涙が出てきました。
両親は私に財産を残してあげるつもりだけれど、資産価値があるかどうかは現時点では分からないのに、あとは私に全部任せておくからしっかりやってね、というのがあまりにも無責任に感じてしまって。
 
先生から今できる事を教えてもらったので、まずは一つずつ、こなしていこうと思いました。
 
私には喫茶店をやりたいという夢があります。
もうずーっと考えていて、音楽と仕事と一人暮らしを両立している間は、諦めていました。
コーヒーが好きで、コーヒーの資格を取ったり、飲食店をしていた親のお願いで、調理師の免許も取りました。
今までいろんな仕事をしてきたけれど、やっぱり食べ物屋さんで育ったせいか、飲食業が自分には向いていると思う反面、音楽活動への気持ちも捨てられず、中途半端なところにずーっといました。音楽も、仕事も、中途半端。
 
だけど今、こうして両親が財産を残してくれる流れになった。まずはマンションの管理の仕事を軌道修正したら、喫茶店をやれるかもしれない。いや、むしろ時間に余裕があるので、やりたい。人を相手に商売をしたい。
 
音楽は私にとってはライフワークです。でもお金を稼ぐ手段ではありません。小さな場所でいいから、歌を聴きに来てほしい気持ちは変わりないです。
 
やはり生活があって、そこから生まれるのが私の歌なので、自分らしい暮らしをまず作りたい。それが喫茶店を営むことだと思っています。
 
今は父の介護と母の手伝いで手いっぱいだけど、幸いな事に両親は喫茶店を開く事に反対はしていません。両親のことがあるからって、夢を諦める必要はないし、幸いなことに喫茶店をやる基盤を整える環境は揃ってる。
一からテナントを借りて飲食店を経営してる人からしたら、十分すぎるくらい恵まれています。
 
喫茶店を開いたら、私の曲から『ランタナ』という名前にしようと思っています。まだ先の事にはなりますが、今やれることをひとつずつ、夢に向かって進んで行きたいと思います。