目が覚めたのはおそらく10分ぐらい後だろうか。別に眠たいわけではなかったので、10分程度で起きてしまうのは仕方ないだろう。しかし、全く呼びに来る気配もない。
「あれ?」
ふと、気がついたがいくらなんでも何も物音がしないというのはおかしいのではないだろうか。これは、よほど壁が分厚くて、周りの音が一切遮断されているか、もしくは誰もこの階にいないということだ。なんだか人の声が聞きたくなって、扉に耳を押し当ててみる。
・・・。
やはり何も音がしない。そのうち今度はなんだか自分が馬鹿らしくなってきてしまった。何も音のしない扉に頑張って耳をつけて、誰かの物音を探し、誰も呼びに来ないことにイライラして、扉を叩いてみたり。ここは刑務所だ。俺は犯罪者としてここに入れられているんだ。しかも終身刑で、籠の外で生きている人間のように、何かを期待して生きていい人間ではない。
しかし、これから俺は今まで生きてきた時間と同等かそれ以上の時間をここで過ごさなければならない。ここでの生活はまだ始まったばかりなのに、これでは俺の気力は持たない。とりあえず落ち着いてゆっくり過ごそう。ものは考えようで、外の世界と違って働かなくても食事は出てくるし、一日中ぐだぐだしてても誰にも文句を言われない。まあ、少し娯楽にかけるが。
とりあえず寝ることもできないので、運動でもすることにした。腕立て伏せ、腹筋、スクワット。腕立てしては休み、腹筋しては休み、ゆっくり無理はせずにできるだけ時間がつぶせるようにゆっくりやった。そういえば、運動するのなんて久しぶりかもしれない。ここに来る前は毎日会社で、休日も企画作成などの残業をやったり、疲れて家で寝てたりしてたからだろう。
ふう。
ひと段落したころ、またガタッっと音がしたので、扉の横を確認すると案の定、食事が入っていた。