ラジオ番組の「東京ポッド許可局」

この作品のことを話されていたので、

許可局員のわたしは観に行きました。


実は別の作品鑑賞時に予告が流れて、

主演の2人がお風呂でいちゃついている場面を観てわたし、許可局のおじさま方と同じことを思いました。


「はいはいリア充映画乙」

「主演どちらかが死ぬんですね、わかります」

みたいな。そんな第一印象。


それが全然違ったとのことで、番組では「花束みたいな恋をした。論」が繰り広げられていて。

気になって気になって。

3月末、観てきました。


結果、とっても満たされた。

心地よい幸せな余韻に浸りました。


前述した第一印象、とんでもなかったです。

とんだ勘違いでした。


未鑑賞のかたも居ると思うので、予告で既に分かる内容のみ記載しますが、

それでも、イヤ!読みたくないわ!と言うかたは回れ右してくださいませ。




普通のラブストーリーって、

出会う好きになる片想い両想い!ちゃんちゃん。

うふふ〜あはは〜(夕暮れの海岸にて)


という展開で完結することが多いと思うのだけれど()


この作品はそこからのお話で、

出会ってから4年先まで時は進んだ。


その「付き合うきっかけ」をはじめに、

「付き合い始めの高いテンション」

「就職して趣味から離れていく様子」

「夢より安定を選ばざるを得ない彼氏と好きなことを続ける彼女」

「すれ違いを生んでしまう理由」

「離別を決意してから踏み切るまで」などの、

恋の始まりから終わりまでを振り返るかたちで丁寧に追っていますが、

それがとにかくリアルなのです。

観ている方々は記憶のアルバムをめくっていたのではないだろうか。


そのリアル具合ときたら。

「先が読める」とかではなくて、思いあたる節がありすぎて、心に刺さりまくるのです。


わたしもゴリゴリに思いあたることばかりで、

麦くんと絹ちゃんのどちらかに共感するというよりは、2人のあいだに発生する出来事自体に懐かしさを覚えました。

年齢も同じ25歳のときだったし。


特に「付き合うきっかけ」

これはあるあるというか世の中殆どのカップルが該当するのかもしれないな。

趣味が合う、好きなものが一緒。その数が多ければ多いほど惹かれる。婚活サイトのCMもそんな感じですよね。

わたしも当時の彼が「(自分と)似てる人を見つけた」と言っていたのを思い出しました。


確かに天竺鼠さんのライブに同じ日に行くはずだった。

とか、

相手の鞄から出た文庫本が自分の愛読書だった。

とか運命感じちゃうよね。しかも数多いる芸人さんのなかで、天竺鼠さん。

本も、春樹とかじゃなくて穂村弘や今村夏子。いわゆる王道とはちょっと違う方々。


タイトルの「花束みたいな恋」というのはここにかかっていると思ったのですがどうなのかな。

天竺鼠、今村夏子、ゴールデンカムイ、ゼルダ、etc…

2人をつなぐもの、一緒に楽しめるものたち。

いっぱいいっぱい集めて一緒に生きていく→花束、なのかなと思いました。

同棲していたあのお部屋は、まさに花束でした。


んで自分の嗜好が普通(王道)とはちょっと異なる。

世間よりちょっとズレている。

故に周囲にあまり馴染めない。

けれどそんな自分が、実はちょっと誇らしい。

そんなところも似ている僕たち。

分かり合えるね。

という絆が生まれる。


ですが途中で、

あれ、オレ実は普通の人じゃね

大したことないんじゃね…??

と思い知る場面がちらほら出てきて、じわじわ少しずつ、絶望し始める。

そこがまたリアルなんよ…(/ _ ; )



そして、

お互いの共通項が多い=うまくいく。わけではない。

というのが顕著に表れていました。

仲良くなるきっかけにはなってもそこは比例しないし、

むしろちょっとすれ違っただけで、裏切られたようなきぶんになってしまう。


あとは共通していない嗜好までも「好きであるはず」と思いこんで押し付けたり。

好きな役者や作家を否定されたり。

前者はまだしも後者は最悪です…(経験者)



でね、ラストが素敵でした。

ずっと過去を振り返っていたけれどラストは現在なのです。ここの2人が、とてもよい。

幸せな余韻の主な理由はここかもしれないな。

恋のライバル的な人や鬱陶しい人が出てこないのもストレスがなく観れてよかった。

「恋は障害があるほど燃える」説、この説を燃やしたいほど信じていません🤪



ハイパー素敵な作品だけれど、恋人同士で観ないほうがよい恋愛作品のひとつだと思います。

リアルなので、あ、うちらもこうやって別れるのかなって想像しちゃうかもしれません。

あと大人のほうが楽しめるかも。

わたしが20代前半でこの作品を観ていたら、最後納得いかなかったかもしれない。

え、別れなきゃいいじゃんって。


ふたりの年齢を超えた、25歳以上のほうが楽しめそう。

自分の中にめくるアルバムがあるとより一層。

記憶のアルバムはどんどん、どんどんお写真でいっぱいにしたいですね。



ところで最近週1ペースで映画館に足を運んでいるのに、ブログ全然書いてなかったなぁ💦

少しずつ書いていこう。この作品はもっかい観たいな。

作中に頻繁に出てきた、今村夏子さんの『ピクニック』も読みたい。