退屈そう(不機嫌にも見える)に椅子に座る少女。パリ万国博覧会内のアメリカ部門への出品を要請するも、拒否された逸話でも知られている本作に描かれるのは、印象派の巨匠エドガー・ドガの友人の子供をモデルに青い肘掛け椅子の上でくつろぐ少女の姿である。

 奔放に伸ばされる少女の足。『青い肘掛け椅子の上の少女』と呼ばれる本作はカサット自身のほか、背景の描写に画家が強く影響を受けたドガの手が入っており、カサットの作品としては些か珍しい作品に分類される。

 椅子の上で丸くなる愛犬。一見するとだらしなくも感じられる少女の姿や乱用な筆触から、本作は万国博覧会での展示が許可されなかったと現在では考えられているが、本作からひしひしと感じられる現代性は、今なお色褪せることなく、観る者の心を動かし続けるのである。