なんだか捨て子の話ばかりになってきましたが、今回でおしまいにしようかと思うので、もう少しご辛抱下さい。


今回は芥川龍之介の小説でずばり「捨児」です。


ある寺の前に捨てられていた捨て子を、その寺の和尚は自分で育てることにして大切に育てていました。一方で和尚は、その子を本当の親に会わせてやりたいとも思い、寺での説教の折にもその子の話をしていました。

数年後、ある女が自分がその捨て子の母親だと名乗り出てきます。その子は事情があって捨ててしまったけれど、夫と産まれたばかりの子を亡くしその捨て子のことを思い出して引き取りにきた、と。そしてその子はその女に引き取られて、女はその子によく尽くして幸せに暮らしていました。

けれど、その女の死の1年ほど前に、その女が実はその子の本当の親ではなかったことがわかります。

女の死後、その子は和尚にその話をしにきて、

 そのことを知って母は母以上の人間になった

と言います。

それを聞いた和尚は、その子も子以上の人間だった、と思うのです。



血のつながった親が子を捨てたり虐待したり、毒親のように子を苦しめたりする反面、血はつながらなくても親子以上の関係になれることもある。

血のつながりって何なのか、と考えさせられます。


結局、以前にも書いたような


https://ameblo.jp/mihuyu2020/entry-12654583593.html


このフロムの考えになるのかな、と思います。


人類愛をベースに、見知らぬ他人を愛せない人に子どもは愛せない。


血のつながりだけではただそれだけの親子だけれど、見知らぬ捨て子を愛せるならば、親子以上の関係になれる、そういうことなのかと感じます。