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マンボウやしろさんの著書『ブサイク解放宣言〜見た目にとらわれない生き方のススメ』

こちらの書評を真面目に?書いてみました。
(かつて南日本新聞さんで書評を執筆させていただいていたのですが、当時のタッチで書いてみました。)

せっかく書いたのでブログにどーーーーーーーーーーーーん。


【書評】
実にドSな教本である。
書店で読者にこのタイトルを手に取らせるプレイから始まり、ページをめくれば「アナタはブサイクです!アナタはブスです!」とわざわざ太字で訴えてくる。思えばバカ、デブ、デベソ…人を罵る日本語には濁音がありがちで濁りの攻撃的はブスブサイクにも健在している。そんな強力なワード"ブサイク"を受け入れて生きた(今も生きている)著者の、人生の赤裸々珍道中と悟りの境地が『ブサイク解放宣言』である。

本書は主に、「ブサイクがしてはいけない8つのこと」「ブサイクはこんな女を狙え!」「ブサイクが愛を語れ!」「ブサイクであるからこそ!」の4章からなる。「よしもとブサイクランキング」というマイナス要素を華々しく讃える摩訶不思議なランキングで3年連続1位を獲得、不本意ながら殿堂入り!という偉業をなした著者は、お墨付きのブサイク代表ということであり、説得力が増すことこの上ない。前半戦のネタ本にも等しい自身のエピソードは漫談のようにすすみ、笑いを堪えることは不可能だ。

著者は昨年芸歴19年で芸人人生にピリオドを打ち脚本家の道へと歩みをすすめたため、本書は芸人"マンボウやしろ"として書いた最初で最後の作品ということになる。やはり、芸人ならではのセンスで紡がれた言葉とそのリズムは、読者を飽きさせないエンターテイメントの世界そのものだ。大ヒットマンガ「サラリーマン山崎シゲル」の田中光氏によるシュールなイラストも絶妙で、能町みね子さんと名越康文さんとの対談シーンは話に加わりたくなる欲求が生まれるだろう。

ブサイクという一見マイナススタートに見えることが着眼点を変えると一気にプラスの要素に働きかけること、さらにはブサイクにしかないメリットまで綴られているが、そのすべては容姿のコンプレックスを"受け入れる"ことで拓かれる世界だ。あるがままを受け入れることで見えてくるものは…。

"ブサイク解放"を謳っているが、解放できるのは見た目だけではなく、読者一人ひとりが持つそれぞれのコンプレックスだ。何かを抱えて卑屈になっているのならば、本書を手に取り自身の心の解放に着手すべし。人生を謳歌するためのメソッドが、この一冊に詰まっている。(とはいえ力みすぎずに気楽に読んで良し。突如攻撃的演説がスタートするので心の準備を!)

私は本書を通してブサイクという言葉の概念そのものが変わった。不細工とは、格好が悪いということではない。何の細工もいらないということ。

浜崎美保


余談:ドラクエの例えはよくわからなく、はぐれメタルを検索してもピンとこなかったが、そこはここだけの話にしておいて欲しい。きっと私だけ。