さて、朝のうちに看護助手さんにフロア案内をしてもらった後は、ナースのライアンに付いて1日回らせてもらいました![]()
その日最初の患者さんは、胸痛の訴えで救急車で運ばれてきた中国人の高齢男性。救急車内では殆ど反応しなかったようですが、ERに到着し色んなスタッフに声を掛けられると、その騒々しさもあってか反応が返ってくるようになり。
ですが、その患者さん&付き添いで来た奥さんは英語が殆ど通じず、同じく付き添いで来ていた息子さんに通訳してもらいながら「息苦しさはある?」「今どこが痛い?」などと確認していき
点滴を始めて状態がある程度落ち着いたのを確認して、その患者さんはERの隣にあるCTやMRIなどの検査室を回ってそのままICUに移送する…という、きっと時間にしてたった20分くらいの出来事だったかな?
ですが、まさにテレビで見るような、患者さんが運ばれてスタッフが”わ~っ”とベッドを囲み、点滴挿入係、心電図係、記録係…など各自が自分のするべきことを分かっていてササっとタスクをこなしている姿は圧巻でした![]()
私も何か手伝える事、学べる事は無いかとウロウロしていましたが、ウロウロしすぎて邪魔になっても悪いのでその距離感が難しく(笑)、「そこにある○○取ってくれる?」と言われた時の手渡し係と、床に散乱したディスポ製品の空き袋を回収してゴミ箱に捨てる…という雑務に徹しました![]()
そして病院によって違うのかもしれませんが、うちではいつ次の患者さんが運ばれてくるか分からないし針など危ないものが転がってる可能性も多いので、患者さんが退出した後の部屋の掃除は清掃係のおばちゃんを呼ばずにナースがやる事になっています。
その男性患者さんが退出していった後に一緒に部屋の掃除をしながらライアンが状況の解説などをしてくれましたが、あっという間の出来事であまり覚えていない私
むしろそれよりも、付き添いで来ていたご家族の半分取り乱したような表情の方が脳裏に焼き付いていて…
そりゃそうですよね。さっきまで普通に一緒に朝食を取っていたご主人がいきなり胸痛を訴えて意識不明になって、救急車を呼んだまではいいけどご家族だって着の身着のままで一緒に病院まで到着し、目の前でご主人が医療機器に繋がれていく様子を見たら誰だって不安と心配とで取り乱したくなっちゃいますよ![]()
もし自分が今後ERで働くことになったら(いや、ERに限らずどの病棟でも言えることだけど)、患者さんが第一優先なのは勿論ですが、付き添いのご家族の心情も察して寄り添えるナースになりたいなってより一層思いました![]()
そうこうしていたら9時過ぎくらいからぼちぼちと、軽症状で来院する患者さん達も増えてきました。まずERに来て自分の順番が来るとトリアージ室に通され、そこで主症状を伝えます。それによってトリアージナースが”この患者さんは感染症の疑いがあるから隔離部屋で”とか”この患者さんはちょっと症状重いから準重傷部屋で専門の医師も呼ぼう”などと判断し、それぞれの部屋に案内します。
トリアージナースから受けた情報を元にドクターが基本的な検査(採血、尿検査、点滴開始など)をオーダーし、それを元にナースが訪室して「こんにちは、あなたの担当ナースの○○です。腹痛が主症状との事なので念の為採血をするのと、点滴で痛み止めも開始しますね。その痛みはいつからですか?どういった原因で始まったか心当たりはありますか?他にどこか痛みや不快感はありますか?」など、更なるアセスメントを開始していきます。
その初回訪室って結構肝心で、患者と付き添い人がどういう雰囲気かというのも気を配り(親子間や男女間だけでなく、息子が老いた母を虐待しているケースなどもアリ)、もし虐待が疑われる場合には付き添い人に一度退室してもらって患者さんに詳しく話を聞くこともあり、パソコンで患者情報を入力する際にも「患者が自分の身の回りを安全だと感じているか」「自殺願望の有無」といった項目もあるくらいです![]()
軽症の場合は平均の滞在時間は1~2時間程度で、同じ病室でも患者さんが数時間おきに入れ替わる事もザラで、私が付いて回ったライアンはその日1日で10人程度の患者さんを担当しました。
まずは初回訪室で患者さんに挨拶をするのと同時に大多数の患者さんの場合は点滴のライン挿入をしますが、すっかりここまで前置きが長くなってしまいましたが、このライン挿入が私が今日ERに居る一番の目的であり
朝の忙しくない時間のうちにダミーを使って練習はさせてもらいましたがいざ本物の患者さんを目の前にすると緊張してしまい、一番しょっぱなのトライはライアンに「やっぱり初回だけは見学にさせて下さい
」と、横で見させてもらうだけにしました。
アメリカでは「Fake it until you make it」(慣れるまでは慣れているフリをしろ)という言い回しがありますが、まさに今の私はこの状況 笑。患者さんには内心申し訳ないと思いつつも笑顔でいかにも慣れてる風に装いつつ、二人目の患者さんで初トライさせてもらい…
すると、逆血は見られたもののそこから先に針が進まず「どうしよどうしよ~
」ともがいている姿を見てライアンがバトンタッチしてくれ、彼が上手い事進めてくれてどうにか留置成功
まずは真空管を接続してスピッツ何本分かの採血をし、その後輸液セットに接続して生食の点滴をスタートしました。因みにERでは心臓に持病があったりしない限り点滴はクレンメ全開のフルスピードで滴下するようで、1000mlのバッグが1時間そこらで空になるのを目のあたりにして驚愕でした![]()
その病室を出て、ライン挿入が途中までしか成功しなかった事でちょっと残念に感じていた私を「うまく出来たじゃない!次は大丈夫だから!」と励ましてくれたライアン、めっちゃ良い人だ~
ERで働くスタッフって機敏で頭が切れるシャープな感じでちょっとしたことには動じないドライめな人が多いのかな?って勝手にイメージしてたんですが、このライアンは知識はとてもあるけど偉ぶる事はなく、むしろ腰が低くて患者はもちろん業者や掃除のおばちゃんとかにも丁寧に対応していて、こういう優しいナースもERには居るんだって逆にビックリしたくらい![]()
さて、次こそは!と思って意気込んだ3人目の患者さんでは無事にライン挿入成功し、その後はたまに失敗もあったけど8割方の成功率で楽しく針刺し(笑)をさせてもらいました![]()
その日にライアン&私が担当した患者さんは…
*血尿→尿結石疑い X2名
*腹痛 X4名
*突然顔が赤く腫れてかゆい
*足が痺れて歩けない
*背中が引きつって仰向けになれない
といった症状の患者さん達でしたが、もう一人忘れられない患者が![]()
救急車で運ばれてきた、でも一人で歩くことが出来るちょっと小太りな黒人青年。歩き方も話し方もおぼつかない感じだったのでアルコールかドラッグのどちらかだよね、とスタッフ同士で話していると、案の定 コカインとマリファナが検出され![]()
私は別の用事で席を外していたのでライアンが一人でその病室に行くと、その患者が「女性ナースを呼んでくれる?トイレに行きたいんだけど女性ナースに手伝ってほしいから」と言ってきたとの事。いやいや、君のその状態で女性ナースなんて連れて来れる訳ないだろと思いながら「僕がお手伝いできますよ?」とライアンが答えると「じゃあいい、トイレ行かない」って言ったそうで。私、その場に居なくてほんと良かった~
(まぁ、もし居たとしてもライアンが阻止してくれたとは思うけど 笑)
そんな感じなのでまずはちょっと落ち着かせよう、という事で精神安定剤の投与オーダーが出たのでナースステーションでその薬の準備をして病室に向かうと…患者が居ないではないか!!どうも女性ナースを連れて来れないと言われたことで機嫌を損ねたのか、もうこの病院はいい!と歩いて出て行ってしまったとの事![]()
「救急車で来たのに、どうやって帰るんだろうね」「歩き方もおぼつかないのに、また戻ってくるなんて事にならないといいけどね」なんて冗談を言いながら、スタッフ皆が苦笑いだった出来事でした![]()
そんなこんなで過ぎた1日でしたが、色んな新しい学びが出来てとても充実したトレーニングでした。たった1日でもこんなに色んな症例が見れるのだから、ここで働き続ければネタになる話は尽きないんだろうな~とも思ったり
でもその分、勉強を続けて色んな知識を身に着けておかないといけないという事もありますが![]()
ERでの仕事経験があれば今後ナースとしてどこでも雇ってもらえると言われていますし、今回体験させてもらってとても楽しいと感じたので、ゆくゆくはここで働くというのもいいな~と思いました![]()
ライアンが私が頑張ってる事をUnit Directorに話してくれ、私もそのDirectorと話してゆくゆくはERで働く事にも興味がある事を伝えると「ぜひいつでもうちに移動してきて!! まだリハビリ病棟でスタートしたばかりだから最初の数か月はそこで基礎を身に着けるとして、もしその間でもうちの人手が足りない時に応援として来てくれるとかでもいいし!」と言ってもらえ![]()
せっかくそう言ってもらえたならこのチャンスを逃すわけにはいかない!! と思い、たまたまそのDirectorがその翌日から2週間の休暇を取る予定なので、彼がその休暇から戻った頃にまた連絡してみようかな~と思っているところです![]()