5月のある風の強い朝、ふと思い立って
愛犬と共に普段は行かない砂浜へお散歩に出かけた。

こんな風の強い日は、なんだか心がざわつくな。
嫌な予感がする。と思ったけれど
どうしてだか、行かなくちゃ。と思ったと。

砂浜に出ると遠くの波打ち際に不自然に真新しいダンボールが置いてある。
あれっ?と思った瞬間、愛犬がすごい勢いで走り出した。

わんわん!わんわん!

普段は吠えない子なのに、ダンボール目指して一直線、お母さん、早く早く!
はしゃいでいるわけじゃない、ただならぬ緊張感。

ダンボールの近くまで行くと、あと少しのところまで波が来ている。
波の音に紛れて、みーみー声がする。

まさか…!

案の定、そのダンボールには可愛い5匹の子猫が入っていた。
まだ耳が横付きで生後一月いかないくらいだろうか。もぞもぞ、みーみーないている。
一匹だけ一回り以上大きくて生後3ヶ月くらいの子も入っていて、その子だけは事情がわかっていたのか、はーっと精一杯の威嚇をした。

こんな波打ち際、あと15分もあれば箱ごと波に持っていかれてしまっただろう。

掲示板の里猫サイトでこんなバックボーンを読んでしまった私は、居ても立っても居られずに、連絡をとり翌日面会許可をいただき、車を飛ばして現地に向かった。

今考えると、有給使って、ナビがあるとは言え行ったこともない土地に、2時間かけて行くなんてそんな行動力どこにあるのさ?って自分でも思うけど。
私のわけのわからない熱意にほだされて、この保護主さんは私に瑛人を預けてくださった。

瑛人は今日も元気です。
相変わらず甘えん坊で私の左手を吸うのをやめないけど、好き嫌いもせずご飯も食べるし、爪を切る時もちゃんと我慢します。

多分私のことをこんなに大好きになってくれる子はいません。
6年前の今日、出会わせてくださって本当にありがとうございました。