前回は少し息抜き的な記事でしたが、

今回は前々回の続きを書きます。

 

英検・TOEICなど、よく英語学習の目標となる試験についての私見です。

 

「学校の英語テストなんて役に立たなかった。」

「受験英語なんて実際には使えない。」

 

という声はよく聞きますが、

TOEICや英検、といった試験はそれとは違うのでしょうか?

TOEICや英検の方が学校の試験や、大学入試の英語よりも

実践に直結しているのでしょうか?

 

 

私は大差ないと考えています。

確かにエッセイがあったり、リスニングがあったり、一見実践に近い感じがします。

しかし、言い方は悪いですが、所詮は日本人が作る日本人のための試験。

日本人が好む、規則性があり、対策の立てられる試験。

受ける側も試験を作成する側もそういう形式から抜け出せていない、と私は感じます。

 

規則性があるということは、その規則性に気が付いた人は

実力以上の回答ができてしまう、ということです。

また、そういった規則性があることで、

「攻略本」・「攻略法」の類が重宝され、英語市場が潤うという、

実際の恩恵が受けられるのは英語学習者なのか?英語学習産業なのか?

という疑問も浮かびます。

 

 

私のケースをお話します。

 

アメリカに越してきてもなかなか英語が上達していると感じられず、

落ち込むばかり、という時期がありました。

ある日、それなら実力を試してみよう、と思い、英検1級を受験することにしました。

引っ越して7,8年は経っていましたので、そこそこいくだろう、と思ったものの、

模試の結果は60%うkらい。

単語を集中的に勉強した結果、4か月で合格しました。

 

勉強中・合格後に感じたことが大きく二つあります。

まず一つ目は自分の単語力がそれまで自覚はなかったのですが、とても低かったこと。

「こんな単語も知らずにアメリカで生活していたとは!」と恥ずかしく思いました。

これでは英語ができると思えなかったのも仕方がないな、と。

 

旺文社さんのベストセラー、「でる単」の中から

土屋雅稔先生という方が寄稿された前書きの一部を拝借します。

 

「英検1級の単語は『ネイティブでも知らない難解な単語だ』

という印象を持つ人が多いようです。

そんな単語は覚えても仕方ない、と意欲がわかない人も多いようです。

1級の単語は話したり書いたりするときに無理して使う必要はありませんが、

読んだり聞いたりといったインプットでは、頻繁に出会う単語です。

 

『こんな単語は見たことも聞いたこともないし、

ネイティブも知らないのではないか?』

と感じたら、その単語をGoogleで検索してもよいでしょう。

数千万以上ものヒット数になりますから。」 (旺文社 『英検1級 でる順パス単』)

 

 

まったくもってこの方のおっしゃる通りなのです。

日本の英語学習は単語をちょっと甘くみすぎかもしれません。

子供レベルの単語で会話はできる、

ということを提唱される方もいらっしゃいます。

もちろん学習者の目的によってはそれもありかもしれないですが、

私はあまり賛成しません。

英検1級レベルの単語はネイティブでは中学生でも知っているものが沢山あります。

 

 

強く感じたことの2番目。

先ほどもいいましたが、英検は日本人が日本人の英語力を測るために作った試験です。

上の級に格を持たせるため、合格率を上げないため、

英語以外で難易度をつけていて、これで本当に英語力を判断できるのか?

と思える部分もありました。

 

例えばリスニングの試験ですが、実際に話されるスピードは比較的ゆっくりです。

試験を受けに来る人なら結構楽に内容はわかるのでは、と思えます。

ところが、回答を4つの選択肢から選ぶのですが、

その選択肢に目を通す時間が極端に短いのです。

 

これではもやはリスニングの試験ではなく、速読の試験です。

この選択肢を読む時間があと5秒長ければ、

合格率はググっと上がるに違いありません。

こんなトリックに一喜一憂させられる英語学習者はたまったものではありません。

 

日本人が作る、日本人のための試験、と感じさせられるのはこういう部分です。

受験英語や学校のテストと大してかわりはありません。

 

(明日に続く)