馬鹿になる | 失語症になっちゃったダンナと私の日々 

失語症になっちゃったダンナと私の日々 

2022年12月末、定年退職後、大学院で勉強していたダンナが脳梗塞で倒れ、失語症になりました。
今はリハビリに通い、緩やかな生活を送っています。そんなダンナと私との日々の暮らしを綴っていけたらと思っています。

 

 兄と私。

 

 父のナーシングホームの件から、

 

 火花が散った状況であり、

 

 兄は電話でも常にイライラしていると母から聞いていた。

 

 

 

 私は兄とこんな関係ではいけないと思い始めていた。

 

 

 

 兄はナーシングホームの予算が高い事、

 

 父にリハビリは不要と言い、

 

 私は兄を批判、兄も私を批判していたが、

 

 なんか突然舞い降りてきた・・・。

 

 

 

 私が馬鹿になればいい。

 

 

 

 兄がナーシングホームの見積もりで渋っていた。

 

 価格が抑えられてgoを出した兄だが、

 

 こう私に言った。

 

 

 私じゃ交渉はとても無理。

 

 俺が施設長と交渉したから、

 

 これだけ予算を押さえることができた

 

 俺は長い事、営業をしているからこういうのは慣れているねん。

 

 お前はすぐにでもナーシングホームの入居を決めようとしてたやろ。

 

 あぁいう時は、じらさなあかんねん。

 

 

 

 

 以前の私なら間違いなく言い返していただろう。

 

 父の面会も1回しかしてないのに、

 

 父に電話すらしてないのに。

 

 あんたに父の何がわかるん。

 

 予算抑えられたというけど、

 

 リハビリ代は入っていなくて兄の希望どおりやん。

 

 そりゃリハビリ代が入ってなかったら、

 

 予算は抑えられるよ。

 

 

 リハビリ代は自費で1回2000円と聞いた。

 

 PT、STで1日4000円・・・。

 

 もう兄貴に何を話しても、

 

 話はややこしくなるだけ。

 

 相手は変えられないはこの事だ。

 

 リハビリ代はもう自分がこっそり出すつもりだ。

 

 

 

 

 今回の件で、

 

 兄がこんな人間だったのだと初めて知った。

 

 

 

 だから私は馬鹿になった。

 

 

 兄は変えられないと悟ったからだ。

 

 

 

 そうやねん。

 

 兄貴がいてくれて本当に助かったわ。

 

 私やったら絶対無理やわ。できひんわ。

 

 ホンマに助かったわ。

 

 

 

 大分大げさに言ったつもり・・・だった。

 

 

 

 とにかく兄を褒めたたえて持ち上げてみた。

 

 

 

 

 そしたら兄は、せやろ、せやろ。

 

 やっぱり俺がおらなあかんやろ。

 

 俺がおらなあかんねん。

 

 実家の日用品も俺がいつも調達してやってるねんで。

 

 俺結構、実家の事ややってるねんで。

 

 

 

 信じられなかった。

 

 

 私は兄がわざとそんな事言うなと、

 

 反撃してくるのかと思っていたら、

 

 私の兄への称賛を真に受けて、

 

 兄はそのまま信じ込んでしまったのだ。

 

 

 

 

 それから・・・だ。

 

 

 何かが変わった。

 

 

 その後、

 

 ナーシングホームに母を連れて部屋を決めた時も、

 

 「ごくろうさん、有難う」と何かにつけて、

 

 兄は私に有難うと言うようになった。

 

 

 

 

 今回の事で学ぶべきことが沢山あった。

 

 

 

 絶対に人を批判してはならないという事。

 

 

 

 人それぞれ考え方がある。

 

 

 その人にとってはそれが正しいと思っている。

 

 

 そして、相手は変えられないのだから、

 

 

 自分が変わる(馬鹿になってみる)

 

 

 そしたら相手も変わった。

 

 

 何て法則なんだろう。

 

 

 何か面白いな。

 

 

 人は自分の鏡なんだなと改めて思った。

 

 

 これからも自分が馬鹿になって、

 

 

 兄を立てて褒めていこう。

 

 

 ってな話を失語症の夫に言ったら、

 

 

「あかん、あかん」の連発だった。

 

 

 

 けどもういい。

 

 

 兄の精神疾患のある甥っ子の所に、

 

 面会に行って話を聞いてあげている事も、

 

 母に兄は、あれはストレス発散に(私に子供がいないから)

 

 行っているねんでと母に言った兄。

 

 

 以前の私なら発狂してただろう。

 

 

 自分は遠方に住んでて、父のお金の話になると顔を出してきて、

 

 父や母の世話を私が中心となってやっていてヘトヘトなのに、

 

 それでもあんたの息子の所に話を聞きに行ってるのに、

 

 ストレス発散とは何事だ。

 

 少しの事でも引っ掛かり攻撃してくるあんたの息子の面会に、

 

 気を使い逆にストレスを受けている。

 

 それを何がストレス発散だ。

 

 いい加減にしろって言っていただろう。

 

 

 けどこの話を母に聞いた時、

 

 何とも思わなかった。

 

 「もうええねん、何言われてもいいねん」と母に言った。

 

 

 私は甥っ子に頼まれて面会に行っている。

 

 兄貴に頼まれて行っているわけではない。

 

 

 

 

 馬鹿になってみるっていうのは心地いい。

 

 だって何を言われても馬鹿になっているから、

 

 いちいち腹が立たないし、どうでもいいと思える。

 

 

 悪くない。

 

 

 馬鹿になってみるのって。

 

 

 

 

 楽になれるから。

 

 

 

 これからもボーっして馬鹿になっていこう。