
美しい朱、黒、そして螺鈿。 中にはワイングラスに細工をしてあるものもありました。 当代の岡さんともゆっくりお話させていだだきましたが、やはり文化人の方々の世界は繋がっておるもので、
「そういえば金城楼の息子はフランス料理も修業したらしい」
「それは、うちです」
で、随分ともりあがりました。 親戚の子、ぐらいの親しさでお話されています。 嬉しいですねぇ。 うちにとっても大事なお弟子さんであり、やはり親戚の子、な感じです。 ということでみな親戚になってしまったわけです(笑)。
金城楼は1887年創業。 まことに立派なお店です。 「能作」さんは明日までホテル西洋で展示されています。
さて、シェ・イノに参りますと、主人がお客様に「その昔、フランスから沢山のレシピを持ち帰ってきたけれど、銀座レカンのシェフになったとき、全部やぶってしまった」という話をしています。
全部身体にたたきこんだ。 これから自分の料理を作っていくという決心のあらわれでした。
音楽もそうでして、譜面を見ている間は、なかなか自分の音楽にはならないのです。 もちろん他にも多くの曲を演奏するわけですから、すべては覚えられないのですが、「自分の」音楽は、身体にたたきこんで、ようやくスタイルが出来てまいります。
年齢とともに記憶力は低下していきますが、積み重ねた経験がさほど重要ではない部分をそぎ落として、覚えるべきものだけを残してくれるのではないか、と気づいたのでした。
マノワールにて夜営業のあと、日本橋に参り、さっきまでミーティング。 なかなかハードな一日です。
写真はソムリエの大橋。 日本橋店ではワインリストがi-Padです。