うちのシェフの父親はフランス修業中に亡くなってしまいました。 請負のカシラで、我が強く、喧嘩っ早く、大酒飲み、ひっきりなしに職人たちが家に出入りしていて、文字通り「女房を質にいれても、酒をふるまう」という人柄だったようです。 

先妻をなくし、後添えとなった嫁は、一回り年下。 何だか、その次男坊のうちと似ていますね(笑)。

傍若無人な父に耐え切れず、母は何度か泣きながら家出をしたそうですが、そのたびに、家のこと、畑のこと、そして子供たちのことが気がかりで、目を腫らして帰ってきたそうです。

私は結婚前に、ちょっとした事情があって、この母と2人で一週間過ごしました。 そして、常に優しく、それでいて真の強さを秘めている彼女の娘になりたいと思ったのです。 それから結婚を決意しました。

母は沢山の孫、ひ孫、家族に囲まれて幸せな晩年をすごし、4年前に亡くなりましたが、63年前の今日のことを、生涯覚えておられたでしょう。

今日はシェフの誕生日です。

私は・・・、いたって日常の日です。(笑)