ワインは樽やタンクから瓶詰めされた後でも、刻々と変化していきます。 シャンパーニュの場合、ここから第二次発酵が始まります。 地下の薄暗いカーヴの中で、そうっと眠りながら「時を待つ」のです。 

作り手も、私たち飲み手も、それをつなぐ様々な人々も、その「時を待って」います。 

今日は、「attendre le moment (時を待つ)」という曲を書きました。 情景が目に見えていて曲の構想も出来ているのに、なかなか題名が決まらなかったのです。 「熟成」という言葉は辞書にも出ていないし、フランス語のシャンパーニュに関する本にも、適した表現がありません。 ソムリエの意見(専門用語)を聞きましたが、結局、この言葉が一番私の「その光景」に持つ感覚に近いと思いました。

キーはB。 ロ長調です。シャープが5つ。 初めてです。 ピアノ弾きとしての自分を離れて、音のつながり(メロディー)を作っていきます。 静かに、そうっとぶどう酒が熟していきます。