昨夜はお客様のお持込で1989年のシャトーマルゴー。 そのときの料理はウフ・ア・ラ・コック、ふんだんにトリュフのピューレを使った逸品です。 香りのマリアージュがもう、くらくらしそう。 もつれあうような、甘美で官能的なブーケですね。 完全無比。 こんなのご馳走されたら、いちころだわ。 もちろんBGMもMARGAUX (from ボルドー組曲)

さて、金沢のお弟子さんが結婚することになりました。 11月2日披露宴。 私どもと同じ記念日になります。 ぜひとも行きたかった土地です、楽しみ。 

私どもが結婚した当初は、住まいは35平米、経営もぎりぎりで、私は当時勤めていたドイツの会社をやめるわけにはいきませんでした。 忙しい時期にはお店のほうも手伝っていました。 

主人には前妻の生んだ娘が居ましたし、それも微妙な年齢だったので、わたしとは子供を作る気がなかったようで、まあ、そんなこんなで30代はそれほど幸せでもなかったですねぇ。 

夫はお金ないくせに見栄っ張りの遊び人、帰りは毎晩2時3時。 私は朝早い出勤だったので、殆ど一緒の時間がなかったし、生活費は全て私もちでした。 退職金は彼が株ですっちゃったし(笑)。 それでも主人のパワーとレストランに対する情熱を信じていたから、ついてきた。 

本当に日々の暮らしやレストラン商売に幸せを感じてきたのは40代に入ってから。 本腰で店の仕事をするようになって、マノワール・ディノが順調になって、少し時間の余裕も出来てきました。

音楽をすることで自分の気持ちが前向きになりましたし、音楽を通した人との出会いによって、元気をいただいたり、忘れていたいろいろな気持ちを取り戻したり。 それがまた、レストラン商売や生活でよい影響を与えてくれています。 女将や嫁は明るく楽しく幸せでないとね。

恐らく今が一番幸せな時です。 これからどんな人生が待っているかわからないけど、最後まで自分と音楽の生き様をつらぬきたいものです。 愛している人たちとともに。

おととい、突然主人がシャトー・オーブリオン1958年(私の生まれ年)を持ちかえってきました。 「あなたにプレゼントだよ」 大変に希少なワインです。 お互いに何に対してということでもなく、感謝の念をいだく、そんな歳月が積み重なったのですね。