吉兆のおじさまが亡くなりました。 晩年は相当のご心労があったことでしょう。 

おじいちゃまの貞一さん(97年没)のお元気なうちにお目にかかれて、お話おききできてよかった。 従来の日本料理から世界の料理へと、茶懐石の魂を拡げていった大変な文化人でした。

おじさまは東京吉兆の素晴らしい看板を奥様と築き、メトロポリタンにふさわしい国際的な接客をされてきました。 

奥様(おじいちゃまの長女)は私の目標の人です。 うちはフランス料理屋ですが、フランスのレストランのマダムより、日本料理の女将に学ぶことのほうが多い。 まして貞一おじいちゃまの教育を受けた方ですから、何しろ器だ大きい。

このところの船場さんの一件で、苦しい思いをされていたことでしょう。 女将さんのお気持ちを察すると涙が出てきます。

私は主人が亡くなったら店をつづけていく器量なんてないなぁ。 そんな状況、想像したくもないけど。