昨夜、60 Minutesのテレビ番組を見ていたら、ソーシャルメディアの現状について、とても興味深いプログラムを放送していました。「ソーシャルメディアに投稿されるコメントや記事は、怒りや憎しみの内容はより多く拡散するけれど、単に事実を伝える投稿はより少なく拡散される」というデータとともに、ソーシャルメディアが、アメリカの政治の二極化とお互いに怒りが増大していることに強く影響を与えていること、そして、オープンに様々な視点を議論すべき大学のようなアカデミックな場でもセンシティブな話題の議論を避けるようになってしまっていると、報告されていました。(Social media's role in America's polarized political climate - 60 Minutes - CBS News)

 

この番組の中で、2020年にThe Social Dilemmaというドキュメンタリーを撮ったTristan Harris氏は、ソーシャルメディアのアルゴリズムは、より過激化した極端な意見をより多く拡散し、政治にも影響を与えていることを指摘していました。そして、Harris氏は、例えばタバコが社会問題だと認識されてからタバコ業界が規制とコントロールを受けるようになったのと同様に、ソーシャルメディアが社会に問題を引き起こしている点を直視して、投稿表示やアルゴリズムなど、ソーシャルメディアを利用するビジネスモデルをコントロールする規制が必要だ、との主張で締めくくっていました。なぜなら業界そのものに任せていても問題は改善しないから、と。

 

ソーシャルメディアが、アメリカの政治の二極化の一端を担っていることは間違いないだろうと思います。そして、ソーシャルメディアが、世論や支持層も作り上げる一端になっていることも間違いないと思います。

 

人間の心理上、怒りや憎しみの内容や攻撃の内容が、自然に、人の感情をより掻き立てて、人々の反応をより多く引き起こすことだろうことは、よく分かります。ソーシャルメディア上では、そういった自然の反応のほかに、コンピュータの設定次第でどのような形にも表示できるだろうこと、そして、そのため、もし、誰かが、その人間心理を逆手にとって大衆心理の操作をしようと思えば、簡単にできるだろうことには、常に気を付けないといけないなと実感しました。ユーザーとしては、ビジネスが投稿表示を操作して金儲けにつなげているだろうことやそのようなリスクがあること自体を知り、認識しているだけでも、いろいろと違ってくると思います。ソーシャルメディアも、テレビ広告と同じようなものだとの前提でアクセスするように、意識すべきかもしれません。

 

怒りや憎しみの内容や、人の不幸をあおる内容は、自分の思考も変えると思います。自分が何を考えるか、それによって、自分の行動も自分の周りの流れも、変わっていくと思います。