先日、私は大阪の十三にある第七藝術劇場に映画を見に行って、『大きな家』という映画を観てきました。
こちらは児童養護施設のドキュメンタリー映画で、
・子供を持つ母
・元警察官
・当直勤務をしていた
という経験から、色んな角度から映画を見ることができました。
児童養護施設では、さまざまな事情から親と一緒に暮らせない子供たちが生活しています。
また私は児童養護施設で働いていた友人がいるので、全くしらない世界の話ではありませんでした。
子供を持つ母の観点から見ると、親にべったり甘えたい幼少期、また思春期、そして成人となり、社会に飛び出す様々な大変な時期に、心の支えとなる血のつながった親と生活ができないというのは、寂しさや、不安など様々な思いがあるだろうと思います。
また豊かな日本では、家族と生活している同級生と自分を比べては自分の境遇を悲観することもあるだろうなと思いながら観ていました。
しかし今は日本でも貧困格差が広がっている中、家族と暮らしていても、貧しい生活をしている人もいる。
食べる物もなく、家庭の中で寂しい思いをしている子供から見たら、施設であっても、食べる物があり、仲間がいる生活が豊かに感じることもあるだろうなと思いました。
そして家族が揃っていて、お金があっても共働きの両親の元、時間がなく、家族で出かけたり家族が揃う時間がないような家もあります。
お金と愛があっても、それを形にする時間がない。
そこに幸せ感がない家庭もあるでしょう。
そして児童養護施設で成長した子供たちは18歳になると、施設を出て自立しなければなりません。
家族と生活してきた子供であっても、社会に出て働くということは大変なことです。
そんな中、少ないお金の中で家賃を払いながら、生活する。
生活するだけでも大変な中、急激な変化で疲れて助けを求めたい、休みたい、、、そんな時でも心の支えとなる家族がいない状況というのは、大変過酷な境遇だなと思いました。
また元警察官の観点から観ると、そう言った子供たちが風俗で働きだしたり、ホストクラブにハマってしまっていったり、、、
生活で困窮して、なかなかそこから這い出せないような状況に陥る場合もあります。
また当直勤務をしてきた経験から職員目線でも映画を考えてみました。
児童養護施設で働くことは、当直勤務が必要となります。
私の友人も児童養護施設で働いていた経験があり話も聞いていましたし、私自身も警察官として当直勤務をしてきて、人が働かない時間帯に働く仕事は大変だということは身をもって体験してきました。
それでも、社会のため、子供たちのために勤務されている先生方には頭が下がる思いです。
しかし、そこに給料が伴っていないのが現状ではないかと思います。
また当然衣食住のすべてのケアをする職員の数もかなり必要となり、環境を作る面でも様々な問題があるのだろうと思いました。
この映画の面白かった部分では、ボランティア活動としてネパールの同じような児童養護施設に訪問するシーンがありました。
ネパールの施設は日本より環境がいいとは決していえない状況でした。
しかし、ある子供にインタビューしたところ『幸せだ』というのです。
孤独を感じず、みんながいるからと。
日本の施設では、環境も良く、同じように複数人で生活しているにも関わらず、孤独を感じたり、不自由を感じている。
そんな対比が『幸せとは何か』を考えさせられる映画でした。
そして、やはり色々なことを知る努力をするべきだなと思いました。
今見えているものが全てではなく、世界は広い。
今考えている不安や、悩みがちっぽけなものだと思えました。
