「イグアナ飼いませんか??」
爬虫類ショップを経営していた友人が連絡してきた。
私はその頃まだアクアリウムを引退し、上陸したての駆け出し爬虫類飼育者だった。
話を聞くと3回売れて3回返品された曰く付きのイグアナ。しかもサイズも1メートルほど。
そして3回目売れた時は噛みつくからと殴られたりしていたらしい。
できればもぅ知らない人に売りたくないと私に話を持ってきてくてた。
いきなりアダルトイグアナか。全くどんなものかわからん!!
とりあえず見に行くことにした。
ムムム…カッコイイ。。
が。さっきからブシュッブシュッと音を出しながら尻尾をムチのようにしてガラス越しに攻撃してくるのだが。。
友人には慣れていて大人しく撫でられていたが、私が手を出すと噛みつこうとしてきた。
「私も触れるようになる?」「時間をかければ絶対なります!」
そうか。そんなもんか。
じゃぁいっちょやってみるか。
いつかは飼いたいと思っていたイグアナ。
ベビーから飼ってみたかったけど、これも縁。
さぁ帰るぞイグ男。
家に帰ってからもイグ男は怒りっぱなしの恐ろしいトカゲだった。
虐待されてたなら仕方ない。
私はその日から毎日ガラスケースの隣に座って本を読む事にした。
毎日革手袋をして好きそうな野菜を与えてみた。なかなか手から取ってはくれないどころか、食べている姿すら見せてはくれなかった。
お前は可愛気をどこに置き忘れたか!!!
2ヶ月後、初めて私の手から奪い取るように、しかも怒りながら豆苗を食べた。
そしてまた私は油断してしまう。
ある日 革手はもういらないだろう。動きのパターンは読んだ。
すぐ調子に乗る。
はい、噛まれるーーー。
あ゛…あ゛〜……たちまち滴る私の血潮…。
離さないイグ男。
やや頭を振るイグ男…一瞬指先との別れを覚悟した。
しかし何故か突然イグ男は諦めてくれた。
見る見る血で染まるタオル。
恐る恐る傷口確認するも…うん。病院いこ♪
外科で「ペットのイグアナに噛まれた」と申告すると、色んな先生が珍しいと見に来てくれた。
「んー、まぁ縫わずにいこっか」とブラシで傷口をガッシガッシ洗われ、ガッツリ消毒されて終了。
しかし翌日には手が握れないほどパンパンに腫れた。
可愛い顔して恐ろしい奴め。
そんなイグ男とももう6年かー。
今じゃ抱っこもできる大人しいイグアナ。
カボチャに目がない。
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