小さな幸せ発見ジャーナル「空と海と星とボク」

小さな幸せ発見ジャーナル「空と海と星とボク」

"日本とカナダ"、"教師・メディア・映画界"を経てたどり着いた「ゆっくり生きる大切さ」と「小さな幸せ」を語っていきます

 この夏、きっとこの先もずっとずっと思い出に残るであろう経験をした。

 

 福岡県で選抜された中学生48名が、長崎にあるテーマパーク「ハウステンボス」に宿泊。4日間ほぼ英語だけで生活し、ネイティブのコーチ達と楽しみながら英語力をブラッシュアップして、最後に(プリ)スピーチコンテストを行うというもの。

 

 このコンテストでトップに選ばれた2名は、秋に行われる地区大会をスキップして、12月の県大会に出場する権利を得ることができるということもあり、参加者達は皆真剣な眼差しでプログラムに参加していた。中には、思うように上手く英語で表現できず、悔し涙を流す子が何人もいた。キャンプ中に親族が手術することになり心配で泣いている心優しい女の子もいた。みんな様々な苦労やプレッシャーを乗り越え、たった一人でキャンプに参加している。

福岡県内から集まった初対面の他校の生徒達と生活を共にしながら競い合うという、過酷にも思える状況の中、参加者全員が持てる力を出し尽くした4日間だった。

 

 元々、福岡県教育委員会と企画を進めていた英語プログラムの会社の社長が急逝され、一時は開催が危ぶまれましたが、同業かつご友人だった素晴らしいご夫妻が社長の夢を引き継ぎ、社長のもとで働いていた敏腕社員の方々とタッグを組み、無事に開催することができたという経緯がある。

 

 さらに、ハウステンボスの担当者とホテルスタッフ皆さんが、これまた本当に温かいお人柄で、子供達が猛暑の中でもハウステンボスの園内を楽しみながらしっかり英語が学べるように、最大限のご配慮をいただいた。

 

 私は、ネイティブコーチ側のプログラムのお手伝いをしましたが、亡き社長のお陰でこんなに素晴らしい出会いと経験をさせていただき、心の底から感謝の気持ちでいっぱいだった。

(社長は皆の事を見守りながら、絶対喜んで下さってるはず!)

 

 このプログラムが大成功に終わった1番の大きな理由は、参加していた生徒達みんなが大きな夢と情熱を持って真剣にプログラムに取り組んでくれたこと。

 

 そして、優しくて楽しいネイティブのコーチ達が心底、愛情と熱意を持って子供達と関わってくれたこと。このプログラムのために集まった即興のグループとは思えないほどのチームワークで、最高のプログラムに仕上げてくれた。

 

 さらに、大きな大きな縁の下の力持ちは、このプログラムを企画した福岡県教委の先生方だ。

インプット重視の日本の英語教育に風穴を開けるべく、プレッシャーの中でも勇気を持ってアウトプットでき、即興で自分の思いや考えを言葉にしてコミュニケーションできる子供達を育てて行きたいという大きな目標を持って開催されたキャンプであると知り、先生達の本気度の高さと熱い思いがひしひしと伝わってきた。

「完璧に用意した文章を完璧に読めるだけじゃダメなんだ」と。

 

 私も母国語を日本語とする日本人として、使える英語を身につける大変さは痛いほどよく分かっている。

ある程度英語力を持って入学したバンクーバーの映画学校で、カナダ人やアメリカ人の生徒達に混じって、ネイティブの先生が容赦無く専門用語を連発して行う授業に初めて参加した日は、家に帰って泣いた。もう無理。帰りたいとまで思った。

 

 今回、英語キャンプに参加した子供達の中にも、最後の感想スピーチで、「ここに来たときは帰りたいと思ったけど、今は帰りたくない」と言っていた子がいた。参加した多くの生徒達が、たくさんの新しい友達ができ、様々な文化背景を持つコーチ達といっぱい英語で話し、楽しくコミュニケーションしながら一緒にハウステンボスを回った喜びを語っていた。みんなで見た花火は、今まで見た中で一番心に残ったと思い出を語る生徒もいた。

 

 キャンプ初日は、少人数のグループの中でさえ緊張で全く話せなかった子が、帰る日には堂々と全員の前で英語で感想を述べている。その成長ぶりを見て感動で涙を流すコーチもいて、他のコーチや先生方も貰い泣きしていた。

 

これなんだ。

企画した先生方が一番願っていたことは。

 

 最初の挨拶で子供達に、こうおっしゃっていた。

「英語で話す時に、間違う事を怖がらないで。それはちっとも恥ずかしい事じゃない。このキャンプの間はたくさん間違っていい」と。

その瞬間、子供達がザワっとして笑顔になったのを私は見逃さなかった。

 

 英語は受験科目に入っているせいもあって、どうしても「間違ってはいけない」と思いがちだ。

正しいスペルで、正しい文法で、正しい表現を使えなければならないとみんな思ってしまう。

みんな英語が生き物であることを忘れてしまっている。

英語は、人と人が情報を交換したり、思いを伝えたり、心を通わせる生きたツールである事を

英語を使えるようになる1番の喜びは、相手を理解し、自分の言葉で誰かを助けられたり、自分の気持ちを相手に伝えられること。言葉が通じて、お互いに心が通い合ったときの喜びは、何ものにも代え難いものがある。

 

 時代は「英語学習はAIでやればいい」という流れになってきている。確かに無料で好きな時に好きな場所で学べて便利であることは間違いない。でも、4日間AIと英語を学んで、同じだけの感動を得られるだろうか。最終日に家に帰りたくないとまで思えるのは、仲間やコーチや先生達と、生きたコミュニケーションで心を通わせる事ができたからに他ならない。

 

 バスに乗って福岡へ帰っていく子供達と先生方を見送った後、心にぽっかり大きな穴が空いてしまった気がしてすごく寂しかった。

なんて素敵な4日間だったんだろう。

ハウステンボスが、また一つ、私にとって特別な場所になった瞬間だった。

 

この英語キャンプに関わったすべての方へ、本当にありがとう!