以前に、




「今後の会計士業界がどうなるか、


 採用も含めて情報が欲しい」




とのコメントをいただきました。




以下はあくまでも私見ですが・・・


よろしければ、参考にしてください。






まず、全体的な状況ですが、確かに、


以前に比べて「余っている」印象は否めません。


ただし、「余っている」のは新人だけです。






業界の現状以前に、業界の実態についてですが、


会計士の仕事も普通の仕事と同じように


その難易度と重要度にランクがあります。




当然ながら、難易度の高い仕事というのは


ある程度キャリア・実力がなければ


こなすことが出来ません。




逆に、重要度の高い仕事の中には、新人にも


こなせるような性質のものもあります。


こういった仕事を正確にやってくれる人は、


新人であっても重要な戦力となります。




・・・ただし、「重要度・高、難易度・低」という


仕事は、そう多くあるわけではありません。


「重要度・低」「難易度・低」の仕事を含めても


監査業務全体から見れば、ごく一部となります。






そして、昨今の試験合格者の増加、大量採用。




当然ながら、新人は「余る」のです。




しかし、去年の新人は、今年には「2年目」になる。


「難易度・中」の仕事もこなせる人も出てきます。


監査法人としても、これを見込んで大量採用を


実施した部分もあると思います。


(Jソックス特需対応もあるでしょうが)




とすれば、当然、新人の補充はいつの時代も、


ある程度必要なはず。




また、難易度の高い仕事に関して言えば、


現在でも会計士は「足りていない」と思います。


だからこそ、会計士の数を増やそうとしたのですから。


合格者を増やすことで入口を広げ、何年かかけて


「会計士が足りる」状況を作ろうとしているのでしょう。




「会計士が足りる」状況の中では、当然、


従来に比べて「資格がある」というだけで


「仕事がある」に直結することはないでしょう。


会計士の中でも競争原理は働くようになるはず。




でもそれは、当り前のことであって、


特別に恐れるようなことではありません。






また、戦後日本に会計士制度が出来てからの


半世紀の中でも、採用氷河期は何回かあったはず。


決して今回が初めてではありません。


以前は合格者自体が少なかったのですから、


絶対数で考えれば今はまだまだ楽な方かも?


とすら思えます。






次に、資格をとるということで、やはり、不況には


強くなると言えるでしょう。


しかし、会計士といえども、やはり景気に左右される


業種であるというのが現実です。




増して、今回の不景気は普通の不景気とは違います。


いったいこれからどうなってしまうのか、


上場企業だってどんどん潰れているのですから、


会計士だというだけでやっている時代では


なくなるかもしれません。




また、日本にはまだまだ無形のサービスにお金を


払うことに抵抗がある傾向が強いですから、


監査報酬は削りたいと思う経営者も多いでしょう。


厳しい状況であるのは間違いありません。




ただし、会計士を必要とするフィールド自体は広がっており、


法定監査以外のことをする優秀な会計士は


今後増えていくと思いますね。


本当に優秀な会計士ならば、法定監査よりも


稼ぐことも出来るでしょうし、そこでやりがいを


感じることも出来るはずだからです。







こういった状況を踏まえて、会計士試験の受験生の


方々のの気持ちに迷いが生じるとしたら・・・


私としては、




「あきらめるな!」




と叱咤激励したいですね。






今までにも書いたことがあると思うのですが、


会計士の資格を取るということは、


社会で仕事をするという意味において、


「特急券」を取得するということなのです。




会社に採用されるということは「乗車券」の


取得ですから、採用されずに資格だけ取っても


それは確かに、何の意味も持ちません。




しかし、生涯有効で強力な「特急券」。


これにチャレンジ出来る人は、とても幸せなんですよ。


もしかしたら、あなたの人生の中で、チャンスは


今しかないかもしれないのです。




それに比べて、「乗車券」を取得するチャンスは、


景気によって幅も広がりますし、年齢や家庭環境が


変わったとしてもそれに合わせていろんなタイプの


「乗車券」があるのです。






会計士試験は、社会情勢に左右されるような


性質のものではありません。


その意味で、通常の就職活動をする新卒生より


会計士試験を受けている人は恵まれているのです。




では何なのかといえば、他人との戦いですらなく、


自分自身との戦いです。


勇気を出して、がんばってください。