2年半ほどブログを続けていると、




「会計士って実際どうなんですか?」




という質問を多々受けます。


受験を考えているという方、それから受験生。


いろいろな方に聞かれます。




こういった質問には私なりにお答えするようにしていますが、


まず最初にお断りしておきたいのは、私は決して


王道の会計士ではない、ということです。




私が考える「王道の会計士」とは、


大手監査法人でいずれパートナーになる人、


もしくはすでになった人(過去も含む)のことです。




会計士の独占業務は、法定監査。


ですから、やはりその道を極め、監査報告書に


サインをする人こそ、まさに王道の会計士だと考えます。






このブログを長く読んでいただいている方は


おわかりと思いますが、私は大手監査法人に勤務して

3年半程度、旧試験制度で公認会計士になった直後に


退社しています。


早い段階で、王道からは外れているということです。




その後、ベンチャー企業のお手伝いを半年程度、


それから2年間の育児休業を経て、現在は


小規模な監査法人でパート勤務中です。


家庭優先の、のんびり会計士です。






さて、ここで本題の


「会計士って実際どうなの?」


というお話。




まず、私が大手監査法人に勤務していた時のことですが、


かなりの激務でした。


入社して、ざっくりとした研修が終わるとすぐに現場。




「これ、やっといて」




と、担当を割り振られ、あとは放置です。


分からなければ、自分で調べるか、質問するか。


仕事の後には補習所があったりして、


とにかく忙しい!




もちろん、要領のいいひとはそれほど大変ではない


のかもしれませんが、私のようにやっとのことで


試験に合格した人間は大変でした。


ついていうのが精いっぱいなのです。




「これ、金曜までにやって」




と言われれば、金曜までにやるしかないのです。


クライアントを引き上げる時間まででは終わらない、


と思えば、帰宅してからもパソコンを広げて、


夜も寝ないでなんとか仕上げることもありました。


ヘルプを頼むことももちろんありましたが、


新米といえどもプロはプロ。


プライドももたなければ、やっていけません。




・・・もちろん、毎日ではありませんよ。


決算の前のいっときです。


そういう繁忙期は、年に3か月から4か月くらいでしょうか?


でも、お休みは3週間近く取れたように思います。






ただ、これはもう3年以上も前の事情であり、


かつ私のいた法人、部署、監査チームでの話なので、


一般的にどうかはわかりません。


ただ、睡眠時間が3時間程度しか取れないというのは


決して珍しい話ではなかったように思います。






さて、そんな生活に3年半耐えたのち、


結婚したこともあり、私は大手監査法人を辞めました。


その後は、パートでしか働いておらず、


おそらく一般企業で正社員として働いている方の


半分から3分の1くらいしか仕事をしている時間は


ないと思います。


しかし、正直に言って、お給料はそれなりに頂いています。


だからこそ今も、週2、3回のパートなのに、


保育園に預けても十分におつりがくる状態を保てるのです。






特に女性で、




「一生仕事をしたいから、資格がほしい。


でも、噂に聞くように会計士があまりに辛いのなら


やめておいたほうがいいかな」




と考えている方。




こう考えてはどうでしょう。




あなたが、誰から見ても明らかな才能をお持ちならば、


資格なんて必要ありません。


でも、そうでないのなら、結局は望む生活をするために




「いつ苦労するのか?」




ということです。


普通の人間は、どこかで努力し、苦労しなければ、


なかなか自由にはできないのです。


世の中、そんなに甘くない、ということです。






私の場合は、試験に合格するために努力しました。


大手監査法人の業務をこなすのに、苦労しました。


そして、その苦労した約10年があったからこそ、


現在の「自分のイメージした通りの30代の生活」


があるのだ、と思っています。




わがままな条件で雇ってもらえたのは、


3年半とはいえ大手監査法人での


キャリアがあったからです。


週3日しか働かなくても保育園代を余裕をもって


出せるのは、資格があるからです。






資格があったり、きつい仕事をこなしたキャリアがあれば、


それは信頼となっていつか自分の自由度をあげることに


つながってくるのです。


それなしに、自分が「何ができるか」を他人(雇い主)に示すのは、


非常に大変なことなのですよ。


それはもう、資格を取ること以上に。


まして、自分がかしらになって稼ぐのは至難の業です。






まずは、会計士になったらきついのではないか、


という思考はやめてみるべきだと思います。


若いうちにきついことをしたら、あとで自由になれるかも?


そういう考えはいかがでしょうか。






それから、実際の仕事というものは、資格試験よりも


ずっと大変なものだ、ということを申し添えます。


それは、大手監査法人勤務の「王道の会計士」でも、


私のような勤務形態でも、監査から離れて働く


会計士であっても同じことです。


試験と違い、社会に対する責任がありますから。


その意味では、働く人はみな同じです。






学生時代に思っていた以上に、世の中は厳しいです。


と同時に、想像以上に、努力が報われる世界です。


ぜひ、頑張ってみてください。