今日は少々お堅く、会計士らしい話を。
11月くらいから、お仕事を少々ペースダウンしていますが、
週1回は上場直近期のクライアントにお邪魔し、
Ⅰの部作成支援をしております。
基本的には開示書類を作っているのですが、
やはり公開企業にしか必要でないキャッシュフローは
会社の担当者の方も苦手なようで、こちらで作ったりもします。
その過程で、「監査済み」のはずのB/S・P/L(計算書類)に、
たくさんミスを発見しました(結構重要なものも)。
う~む、これはどうなんでしょう。。。
確かに、決算書を作るのは本来会社の役目。
ですが、開示は未経験の方も多いわけで、ミスも出てきます。
公開支援の場合、それを事前にチェックするのが
監査の役目でもあると思うのですが。
会社自身は正しい数字を開示しようという意図があり、
頼めば資料も出てきます。
このような会社の公開を担当する場合、やはり監査をする側には
そのお手伝いをするような機能がなければならないと思うのです。
とはいえ、監査法人の内情も、分からないわけではない私。
予測するに、以下のような事態が起きていると思われます。
カネボウ事件などを契機に、監査の責任の重さを再認識
↓
責任が重い=企業に何かあれば監査法人も責任を問われ、
訴訟になる可能性がある
↓
訴訟になった際に、「監査をしっかりやっていた」
ということを監査法人側が証明する必要がある
↓
そのための資料をしっかり作っておく必要がある
↓
ただし、会計士の数がそれほど増えたわけではなく、
(合格者は増加しているが、やはり実務経験が少ない場合限界あり)
やるべきことだけが増えた。
つまり、 ①監査(&公開支援の場合コンサルティング)
②訴訟対応
の両方を限られた人員がやらなければならない
・・・その結果、残念ながら、より重要な①のクオリティが
少々落ちているのではないでしょうか?
見過ごされていたミスの中には、私が監査をしていたら
絶対に気付いた、と断言できるものもありました。
訴訟対応に追われた結果、このようなミスを見逃したとしたら・・・
まさに本末転倒。
会計士の一人として、不安を感じる事態です。
会社の方の、
「今年は会計士さん、サンプルチェック300件以上してました」
という言葉も私の予想を裏付けているように思います。
訴訟対応には、統計学に基づいたサンプリングが行われますから、
自動的に無意味に思われるほどのサンプル件数が算出されることが
往々にしてあるからです(私もずいぶん苦しめられました・汗)。
これからの監査のあり方。
会計士業界全体で考えていかなければならないでしょうね。
株を買っている個人投資家の方にも、監査の意味を知ってもらい、
投資家に負担してもらってでも報酬を上げる必要があると思います。
そして、監査のうち、専門知識がなくても出来ることは
資格がない補助者に依頼する、といった対策も必要だと考えます。
みなさま、どうお考えでしょうか?