シューマンの幻想曲 op.17から第1楽章を弾いてみました。
冒頭の左手パートからして、瑞々しい情熱が湧き上がってくるようですね
リストの呼びかけで始まった、ベートーヴェン生誕65年を記念する記念碑設立の寄付活動。
若いシューマンは、作曲と出版で寄付をしようと思いつきます
作曲当時は『フロレスタンとオイゼビウスの大ソナタ、ベートーヴェンの記念碑のために』という気合の入ったタイトルで、後に現在の『幻想曲(ソナタ風の幻想曲)』と改めました。
この作品が作曲された当時、シューマンはクララと結婚を約束するも父親の猛烈な反対で会えない日々が続いていました。第1楽章の頻繁な転調や不安定な調性は、その反映だと言われています。
作曲当時は各楽章にも「廃墟 Ruinen(1楽章)」「トロフィー Trophaen(2楽章)」「シュロの木 Palmen(3楽章)」というタイトルが付けられていて、意味深です。詩も添えられていました。
「色とりどりの大地の夢の中で あらゆる音を貫いて響いてくる 微かなひとつの音が 密やかに耳を傾ける人に」
この「微かなひとつの音」とはクララのことなのだと、シューマン自身が述べています。
瑞々しい情熱と、愛する人と結婚に辿り着けない苦しみと、、等身大のシューマンをこの作品から感じますね・・・。
ベートーヴェンの歌曲《遥かなる恋人に》のメロディーを引用した、オマージュの第1楽章。
引用したメロディーの歌詞は「愛しい人よ、僕があなたのために歌ったこの歌を受け取っておくれ」
ベートーヴェンへの限りない尊敬を込めてこの歌詞をクララへ捧げながら、シューマンの作品は古典派からの脱却を見事に成して、ドイツロマン派の完成をやり遂げています。
(ソナタ風と言いながら、作品の構成はソナタ形式から離れて進化している)
ーーーーーーーー
シューマンが結婚の朝にクララへ贈った、ミルテの小枝。
ヨーロッパ圏では愛と繁栄の象徴として、結婚式のブーケの定番です
異常気象で心配しましたが、今年も綺麗に咲いてくれました。
木漏れ日のミルテを見つめたり
愛らしい花に癒されました
シューマンもきっとピアノの上にミルテを置いたのではないでしょうか。
花を見つめながら、偉大な作曲家を偲びます
シューマンの歌曲『ミルテの花』より「献呈」
クララが惚れちゃうの、分かるなぁ