今から20年前。
キングレコード60周年の記念コンサートが、
東京 中野サンプラザで行われました。

結婚した翌年で、その年の始めに流産してしまい、
仕事をセーブしていましたが、そのコンサートには
出演させて貰いました。

その時、体調不良をおして出演なさっていた、
故 春日八郎さんの一言を思い出します。
元気にお歌いになる二葉先生をご覧になり、
「女の人のほうが元気だよなぁ」
と、つぶやかれたことを。

その二葉先生のファイナルコンサート。
3歳で初舞台。77年の芸能生活だそうです。
途方に暮れるような長い歳月です。

ラストの曲は、もちろん『岸壁の母』
会場内がシーンと静まりかえり、
歌終わりで、拍手することを皆が忘れるほどの熱唱でした。
最後のセリフが決まった瞬間の、
鳥肌が立ってしまうくらいの迫力。

歴史的な瞬間に立ち会わせて頂けて、
幸せな思いでしたが、
「おめでとうございます と言ったらいいのか、
 お疲れさまでした がいいのか、
 残念です なのか、言葉に迷います。」
特別ゲスト、五木ひろしさんのコメント。
まさにその通りでした。




開演前、五木さんの楽屋にご挨拶に伺いました。
1月に大阪・新歌舞伎座でも、『紅の花』を作曲して下さった
お礼のご挨拶をしたのですが、発売を控えてあらためて。

五木さんにお逢いすると、スカウトして下さった
15歳の頃に戻ってしまって、バリバリに緊張して、
まともに話せなくなってしまいます。
今日もきっとそうなるだろうな…
予測は出来ていたので、お手紙を書いて
お渡ししました。

発売になる『紅の花』の音源を聴いて下さったようで、
「上手く歌ってる」と、お褒めの言葉。
バリバリの緊張が、少しほぐれた瞬間でした。

二葉先生のもとに、浪曲のお稽古に通う
冬美ちゃんや島津亜矢ちゃんとも、再会。
亜矢ちゃんは、幼い頃、共にのど自慢荒らしをした仲間。
「美保ちゃ~ん!」と飛んできて、再会を喜んでくれました。

レコーディングの日に、お祝いのワインとメッセージを
くれた神野美伽ちゃんにも再会。
『紅の花』を作詩して下さった、
ご主人の荒木とよひさ先生とご一緒に
お茶を飲みながら、会話が弾みました。
うらやましいご夫妻です。
美伽ちゃんとは、デビューが同期ということもあって、
互いに10代の、あの頃に戻った気分になるのです。




公演が終わり、楽屋を後にされる二葉先生を、
キングレコード所属の後輩や関係者が一列に並び、
拍手で送り出しました。

最後のステージを無事に終えられた喜びと、
達成感溢れる笑顔でした。
先生のお傍には、目頭を抑えていらっしゃる、
先生のご主人の姿がありました。

裏方に徹し、先生と二人三脚で歩んでこられました。
ご主人がしっかりと傍にいて下さったから、
安心して舞台に立たれていたのだと思います。

複雑な思いが 込み上げていらしたのだと思います。
きっと誰よりも、二葉先生のファンでいらしたのだと
思います。
数年後に金婚式だとのこと。
素敵なご夫婦の姿でした。