活動を休止していた約6年間。
歌番組を視ることも、CDを聴くことも、
だんだん嫌になってしまった。
合わせて歌ってみる。思うように歌えない。
イライラと悔しさを、消化出来なくなっていた。

3年前。
活動を再開したことがあった。
でも、いつも安心して歌える状況ではなかった。
不安との戦い。
歌っている最中に、突然おかしくなることもあった。

お金を払って私の歌を聞きに来てくださる方、
拍手を下さる方に対して、申し訳ない気持ちで
いっぱいになってきた。

無理をしても、良い方向には進まない。
すべてが悪循環、空回りしていた。

一度、歌を忘れよう。
空っぽに出来たら、そこから光が見えるかも
しれない。
それでも駄目なら…諦めよう。

高校3年生でデビューしてから、芸能界の仕事しか
知らない私。
生まれてはじめてアルバイトをした。
履歴書、初めて書いた。
素性を明かさず、面接に行った。

酒屋さん。レジにたつ私。
お酒が飲めない私。お酒のこと無知に近い。
ビール・発泡酒・第3のビール・日本酒・焼酎・
缶酎ハイ・ウイスキー・ワインetc
迷惑をかけないように、商品名とメーカー、必死で覚えたあせる

会長、社長、採用を決めてくれた店長、社員・アルバイトの皆さん。
暖かい環境に恵まれた。
時とともに皆の知ることとなり、
歌を披露することに。

あら?歌える音譜
あらら???

驚きの歓声と共にもらった拍手。
これまでのどんな拍手よりも沁みてきた。

突然歌えるようになった・・・わけじゃない。
ボイトレで先生に言われていたこと。
頭では理解出来たけど、声にして表現出来ずにいた。
それが、考えずに声になった。

チョキクラッカー

何があった?何をした?
ボイトレの先生もビックリ目

歌から離れる環境に飛び込んでみただけ。
でも、諦めてはいなかった。
諦めなかったご褒美を貰った気がした。

ひとつ事が上手くいくと、不思議。
いろんなことが上手く廻り出す。
これまでのいきさつを理解してくれた、
現事務所社長のもとで、復帰に向けての準備にとりかかった。

10年…暗闇の迷路に迷い込んでいた。
光が見えた!と進んでみるけど、それは出口ではなかった。
引き返しては、他の方向に進んでみる。
その繰り返しだった。

思っていた以上の、長くて暗い迷路だった。
彷徨い歩いたけれど、出口が近くなった証だったのか。
邪念がひとつづつ消えていくことに気がついた。
そして・・・
出口を見つけることが出来た。

桑田靖子ちゃん。

告白…By 桑田靖子オフィシャルブログ

彼女との新たな交流の中で、雲に覆われていた
いや、自ら雲をつくっていた私の心に
暖かな陽射しが降り注いでくるのが分かる。

アイドルとしてデビューした彼女。
当時、アイドルたるもの こうあるべき!図式が
決まっていて、そのレールに乗ったものの、
何処か ぎくしゃくしていたのかもしれないね。

「おはようございま~す!」
「よろしくお願いしま~す!」
「はい!頑張りま~す!」
可愛い声で、笑顔で元気よく。
余計なことは喋らなくていい…

そんな歪みが、知らず知らずのうちに、
身体に蓄積されてしまったのかもしれないね。

彼女も私も、恵まれた環境だった。
互いに10代、若かった。環境に順応出来ずにいた。

あれから四半世紀…
歳を重ねた今だから振りかえり、素直に感謝出来る。
歌いつづけることで、恩返しをしたい。
思いは同じ(^-^)/