千両みかん | 行雲流水

千両みかん

古典落語のひとつで真夏の盛りに大店の若旦那が病にたおれ


せめて最後にみかんが食べたいとに伝える。


不憫に思った大旦那である父親は、


仕えて30年以上の大番頭に


真夏のみかんが探しを命じる。


冷凍技術のなかった江戸時代に


真夏にみかんを保管していられるのはやっぱり大商人しかない。


鴻池か三井だったとおもいます。


やっとのことで見つけたみかん1個に千両という高値をふっかけてくる。


一人息子可愛さに千両を出してやる大旦那。


若旦那も心から喜んでハッピーエンド。


かと思いきや、30年近く仕えても


ほとんど恩恵を得られなかった大番頭が


雇い人にはこれっぽっちの賃金も


あげてくれないのに一人息子には


千両もポンと出してやる気前の良さを


間近に目にしたことで


仕事を続けるのがむなしくなって


みかん数房をもって夜逃げするという落ち。


宮仕えの虚しさを説く落語です。


最近よく話題になる友人の金を


借金の穴埋めに使った人も


どこかで虚しくなってしまったのかと思いました、


その時ふと浮かんできた噺でした。