結論から言うと絵衣は修学旅行に行きました。3日間を同級生たちと過ごし、「楽しかった」と言って無事に帰宅しました。

 

出発当日の朝は目覚ましをかけ、自力で5時に起きました。ハハは玄関先で見送り、集合場所の駅まではチチが送っていきました。担任の先生や校長先生が待機していたので、頭を下げて託してきたそうです。万一のときは関西に住む姉夫婦が現地へ駆けつけてくれる話になっていました。

 

いちばん心配だったのは公共交通機関での移動の多い2日目です。本人の体調に応じて参加せずに先生と宿で休んでいるとか、半日だけ班行動に加わるといった選択肢も用意してはいました。それでも悪化に気づかずみんなと一緒に出かけたあげく、どこかで動けなくなって迷惑をかけたり騒動になったりしてるんじゃないかと想像して気が気ではありませんでした。いつでも緊急連絡を受けられるよう自宅待機していたのですが、その日に限ってやたらと電話がかかってきて、鳴るたびに心臓がヒヤっとする思いでした。

 

ただその頃、当の本人は最初から最後まで班の一員として行動し、今宮神社で美味しくあぶり餅をいただいたり、北野天満宮で仲良くお揃いのお守りを買ったりしていたようです。体力的には間違いなくキツかったはずですがよく頑張りました。さすがに帰宅翌日は横になってなかなか起き上がれない様子でした。

 

ただこれは中学生活最大の思い出にして、おそらく最後の思い出になるのかなと思います。体育祭には参加するつもりがないようですし、定期テストもすでに受けないと決めています。はたから見ていてもこれ以上の集団生活への参加は負担が大きすぎるように感じます。今は部活に顔を出して気心知れた仲間としゃべる時間が大きな癒しになっているようですが、引退してしまえばその場もなくなってしまいます。

これから本格的に受験勉強に立ち向かう同級生たちとは、いずれ話も合わなくなっていくのではないかなと思います。

 

つづく。(全7回、毎日更新)