71話 「赤ちゃん」
「美高ごめん、職員室ついてきてくれる?」
「まぁ、いいですけど」
なぜか美高を呼び出した。犬猿の仲なのにこの木田という少女は・・
「そういえば、修真とどこまで進んだの?」
「ひ、秘密ですわ!」
プイっと横を向く。
他愛もない話をしながら歩いている時だった。
「うっ!!」
「わっ、何!?」
美高が口をおさえて走り出した。
「ちょっ・・・どこ行くの!?」
後を追いかけるとトイレだった。
駆けつけると苦しそうに呼吸していた。
「大丈夫?吐いたの?」
「えぇ、大したことありませんわ・・」
最近元気ないな・・・。
「何か変わったことない?」
「変わったこと・・・・。最近よく吐きますわ」
「じゃあ、こんなこと聞くのもアレだけど、前のお赤飯っていつ?」
「え・・・。3ヶ月くらい前かしら」
やっぱり・・・。
「っ・・・妊娠してるんじゃないかな」
良く分からない雰囲気に包まれる。
「あ、あり得ませんわ。だって・・・」
動揺を隠せないようだ。体が震えている。
「多分だよ!?ホントかどうかはわかんないけど・・・。もし、体重増えてたりお腹出てきたりしたら、もう・・・」
何言ってるの私。
こんなの、美高を追い詰めてる・・・
「一度修真くんと話してみますわ。私はまだ高校生ですし。・・・まだ当分先でも良かったんですけど・・・」
「そうだね。・・・もし出来てたら産むの?」
「できればそうしたいですわ。でも『できちゃった結婚』になるのは確定ですわね」
「うん・・・。」
気が遠くなりそうな話だ。
なんか、周りの人がみんな大人みたいで・・・
じゃあ、もうすぐ美高はお母さんになるって事?
私にもそんな日、来るのかな・・・
「修真ちょっと来てくれる?」
今度は修真を呼び出した。
「どうかしたの・・・?」
「美高とはどこまで進んだの?」
同じことを聞いてみる。
「えっ・・・。言わない」
そう来ると思った。だから・・・
「その・・・中に出した?」
「はっ・・・」
修真の顔が紅潮していく。
「なんでそんなこと聞くの」
急に真剣な表情になったので威圧感を少々感じたが、怯んでは負け。
「妊娠してたらどうする?」
「それは・・・」
「どうなのよ」
「絶対に責任とる」
真剣すぎる顔に負けそうになったけど・・・。
「修真くん」
後ろから美高がおずおずと出てきた。
「空・・・。なんで授業中いなかったの?」
そういえば、さっきいなかったような。
「・・・家のかかりつけの医師に相談してましたわ」
な・・・!
まさか、聞いてきたって言うの!?
「修真くん・・・」
こっちまで鼓動が早まる。
「赤ちゃん・・・出来てましたわ」