ほぼ1週間も経ってしまい今更感も否めませんが、先週の火曜日11月29日、YESの日本公演最終日に渋谷オーチャードホールに行ってきたので、備忘録的な感想文などしたためてみました。


イエスは高校生の時に『こわれもの』と『危機』を聴いて以来の大好きなサウンドではありましたが、ぶっちゃけガチのファンというわけではありませんでした。  それでも2年前の来日公演はその2枚のアルバム完全再現ということで、ウドープレミアム会員のお友達に頼み込んで代理購入してもらい1F10列目、しかもクリス・スクワイア側というなかなかいい席で観戦することができました。
しかし、今回はちょっと馴染みがない『ドラマ』『海洋地形学の物語』『イエスソングス』からの抜粋と聞いていたし、全日程平日だったので開演時間までに会場に着くのは無理そうだなあと思い、最初から行く予定はしていませんでした。


が、初日始まってから、ネット上に流れている評判がすこぶる良かったのと、ある方からおススメされたので、2回の東京公演、祝日挟んで大阪公演、名古屋公演と行われる間にかなり気になってきました。それと、公開されたセトリで「同志」や 「燃える朝焼け」、「ラウンドアバウト」など、私でも知っている曲も演奏されていることがわかったので、『海洋地形学の物語』は最近買ってあったCDを改めて聴き、『ドラマ』『イエスソングス』はYouTube動画でにわか予習して急遽チケットを購入しました。


前回の来日メンバーのうち、昨年クリス・スクワイアが他界し、アラン・ホワイトの腰の不調によりドラマーが交代するなど、新しいメンバーが加わってどうなのかなという懸念もありましたが、実際の演奏を聴いたらその懸念は一気に吹き飛んでしまうくらいの全力バリバリのイエスサウンドで、違和感は全くありませんでした。


技術的なこととか機材や専門的なことはわからない素人感想で恐縮ですが、まず一番感じたのは、まさにイエスの音楽がそこにあるということでした。


他の方々のレビューにもありましたが、ビリー・シャーウッドのベースはクリスを彷彿とさせる音で、そういえば体型とか動き方もどことなくクリスっぽさを漂わせている気がしました。生前本人自らビリーを代役として指名した(と何かで読んだ)程なので、その実力はお墨付き、後を託せる人材だと思ったのでしょう。
あと、見た目一番ヤバそうな(笑)ハウさんが実は一番体力があるのではないかと思うくらい、ずっと出ずっぱり弾きっぱなしでお元気なことに驚かされました。
ヴォーカルのジョン・デイヴィソンのハイトーンボイスは、アンダーソンのそれに遜色が無く、ベースもコーラスもハウさんのギターも、様々な音色を奏でるジェフのキーボードもまさにイエス!
若手メンバー(といっても40~50代w)が心からリスペクトして演奏しているのがわかり好感が持てました。


また、スクリーンには演奏中の曲が収録されているアルバムのジャケットをアニメ化した映像が流されていたのも興味深かったです。

公演は定刻通り19時に始まり、途中20分の休憩を挟んで第2部が終了して会場を出たのはなんと21時45分くらい!休憩時間を除いてほぼ2時間半の公演でした。


【第一部】


SE: ONWARD – クリス・スクワイア追悼
 ステージの真ん中にクリスが使用していた(と思われる)ベースが立てられ、スクリーンに在りし日のクリスの写真がスライドショーのように映し出されて胸が詰まる思いがしました。

SE: 青少年のための管弦楽入門 ~ メンバーステージに登場


『ドラマ』より
マシンメサイア Machine Messiah
白い車  White Car
光陰矢の如し Tempus Fugit


『イエスソングス』より
アイヴ・シーン・オール・グッド・ピープル I’ve Seen All Good People
パーペチュアル・チェンジ Perpetual Change
同志 And You And I
燃える朝焼け Heart Of The Sunrise


<休憩>


【第二部】


『海洋地形学の物語』より
神の啓示 The Revealing Science of God (Dance of the Dawn)
リーヴズ・オブ・グリーン Leaves Of Green
儀式 - Ritual (Nous sommes du soleil)

【アンコール】
ラウンドアバウト Roundabout
スターシップ・トゥルーパー Starship Trooper


長尺曲が多いので曲数としては少ないのですが、ものすごく濃くて充実した内容でした。オーチャードホール全体の空間にイエスの音楽が満ちていて、その只中にいられたのはとても幸福な体験だったと思います。


ライブの醍醐味は、演奏者とオーディエンスの間の空間を音が伝わり、その波を受け止めたオーディエンスから感動の波が演奏者に戻ってくると同時に、その相互の波がホール全体に広がっていくという目に見えないやりとりの相乗効果により感動を共有できることなのではないだろうか、と…。文才がないのでうまく表現できないのですが…。


人は誰でも老い、衰え、決められた寿命でこの世を去ります。かつての若きロックスターたちも例外ではありません。しかし、彼らの音楽はそれを演奏する人々がいる限り永遠に存在します。イエスに限らず素晴らしい音楽はレコードの中だけに存在する化石にしてはならないと思うのです。

今回のイエスでは図らずも新旧混合バンドとなりましたが、いずれ数十年も経たずに完全な世代交代となり、そのメンバーもまた次の世代にバトンを渡すようになるでしょう。次の世代もその次の世代も、彼らの音楽を遺伝子のように再現してその時代時代の人々に生の感動を伝え続けてくれる優れた演奏家が受け継いでくれることを願ってやみません。


また日本に来てくださいね!!


追記:
今回の席は2階だったので、1階席の臨場感こそ味わえませんでしたが、ちょうど1階席の真ん中を横切る通路の上あたりに位置していたため、ステージ全体がとてもよく見えました。
会場内の写真撮影、動画撮影は厳禁となっていたため、写真はありません。代わりに日替わりで来場者全員がもらえるクリアフォルダの写真を記念に残しておきます。