昨日新八や平助と飲んだ酒がまだ少し残っていて身体がだるい
欠伸をしながら廊下を歩いていると、向こうから千鶴が歩いてくるのが見えた
誰かにお茶を持っていくのか、それとも下げてきたのか、お盆を持っている姿に声をかけようとしたとき
ふらり…と、千鶴の身体が大きく傾いた
「おいっ…!」
慌てて駆け寄り、千鶴の身体を抱き止めた
「大丈夫か!?」
「あ…原田さん、ありがとうございます。大丈夫です」
言葉とは裏腹に千鶴の声には力がなく、とても大丈夫とは思えない
普段は色白の彼女の顔が少し紅潮していて、もしやと思い俺は額に手を当ててみた
「お前…すげえ熱あるじゃねえか!何で言わねえんだよ」
「大丈夫です…これくらい。すぐ治りますから」
支えていた俺の腕から起き上がろうとした彼女から盆を奪い取ると、俺は千鶴を肩に担ぎあげた
「えっ//ちょっ…は、原田さん!?」
驚く彼女を無視して俺はそのまま彼女を部屋まで運んだ
手に持っていた盆と肩の千鶴を畳に下ろすと、押し入れから布団を取り出して寝床を用意した
「ほら、いま山崎に薬貰ってきてやるから、大人しく寝てるんだぞ」
「あ…それなら私、自分で行きます」
「あのなあ…」
俺は溜め息をつくと、ちんまりと座っている千鶴の前にしゃがみ込んだ
「こういうときくらい、素直に甘えろよ。お前は俺の特権を奪う気か?」
「特権、て…」
「好きな女を甘やかす特権だよ」
「原田さん…」
「二人きりのときは左之助、だろ?」
「左之助…さん//」
「よし。じゃあちゃんと横になってろよ」
頭を優しく撫でると、千鶴は俯き加減に小さく頷いた
…
薬が効いたのか、ぐっすり寝ている千鶴を見ながら艶やかな髪を何度も撫でる
「俺たちも無茶しがちだが、お前も相当だよな」
素直に甘えろと言ったことが効いたのか、寝るまで傍にいてほしいと珍しくねだってきた千鶴
彼女の横で添い寝をしながら、もしかしたら、こいつが一番頑張ってるのかもしれないという思いが湧いてくる
死ぬつもりはさらさらねえが、いつ命を落としてもおかしくない俺達の…俺の傍にいてこの小さな身体で必死に支えてくれているんだよな
「まあ…そんなとこに惚れちまったんだけどな」
この状況を変えてやることはできねえから
死ぬつもりはさらさらねえが、いつ命を落としてもおかしくない俺達の…俺の傍にいてこの小さな身体で必死に支えてくれているんだよな
「まあ…そんなとこに惚れちまったんだけどな」
この状況を変えてやることはできねえから
だから今は俺がこうして守ってやるから、いい夢を見ろよ?
そう願いを込めて、彼女の額に唇を落とした
*みかん様に捧げた短編*
そう願いを込めて、彼女の額に唇を落とした
*みかん様に捧げた短編*