わたしは旅からたくさんのものをもらってきました。
たのしいことや、うつくしいこと、くやしいことや、つらいこと。
ふと贈られる笑顔や、かけがえのない出会い、
息もできないほどの景色や、目に見えないチカラ。
わたしはたくさんの人に支えられて旅をしてきました。
宿のおっちゃん、食堂のおばちゃん、すれちがう青年、無邪気な子ども。
ブログや旅本、情報ノートを残してくれた旅の先輩。
笑顔でいってらっしゃい、おかえりをくれる仲間。
旅の安全を祈りつづける家族。
たくさんの人から、たくさんのものをもらってばかり。
わたしからも何かお返しができないか、ずっと考えていました。
そんなとき、フィリピンのバダッド村で、あるおじいさんに出会いました。
2000年以上前に作られた「天空への階段」とも称されるすばらしい棚田を
今も手作業で守り続けるバダッド村。
棚田は世界遺産として認められたものの、後継者不足が深刻化し
今では危機遺産にも登録されています。
この村に住むおじいさんは、わたしにこう言いました。
「もし、あなたがここを気に入ってくれたなら、
どうか多くの人に、ここで見たもの、感じたものを伝えてほしい。
わたしたちの存在、文化を知ってもらいたいんだ」
このことばを聞いたとき、
「旅でもらった、あたたかいきもちを、ことばを編んで伝えていく」
というお返しなら、わたしにもできるんじゃないか、と。
だから、旅をしながらラブレターを書くことにしました。
旅先で出会ったあなたには
「あなたのいるところは、こんなにすてきだったよ」と
みんなに伝えられるラブレターを。
わたしの旅を応援してくれるあなたには
「わたしは今ここで、こんなことを経験してるよ」と
報告がてら安心してもらえるラブレターを。
これから旅に出ようとしているあなたには
「この場所はこのときこんな感じだったよ」と
参考にしてもらえるラブレターを。
これから約1年かけて、世界をぐるっと一周しながら
あなたにラブレターを送り続けます。
どうか気長にお付き合いください。
旅の初夜、中国は北京より。
画像はバダッド村。
I’m still alive , and i love u.
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