※そして腐向けです。
※CPとしてはメゾーソ×コーエンになります。(予定)
※捏造設定が土砂降りです。苦手な方は超逃げて
※『腐向け』が分からない、嫌いな方は回れ右でお帰り下さいm(__)m
※携帯から投稿したので文章配置がおかしかったりします
●以上を持ちまして本文に入ります。(※をきちんと読まずに不快な思いをなされたとしても自業自得です)
緩やかな陽射しが差し込む窓の縁に指先を乗せて、彼はどこか嬉しそうに景色を眺める。
その琥珀色(アンバー)の瞳に移る首都の壮麗な街並みは、かつて彼がその力で護ったものだった。
魔術師コーエン。
イリュシエラを含む大陸全土を戦場とした先の大戦で活躍し、その功績と人格、艶やかな長髪と優しげな容姿から魔法学会だけでなく一般社会にも広く名前が知られるようになった魔術師の一人だ。
あの伝説の魔法の本を開きうる人材の一人でもあった。(実際には対になる世界の向こうから来た無名の魔法使いが開いてしまったが)
そんな彼は大戦の後、イリュシエラの首都エルシエラ(偉大なる女王エル・シエラの名を冠する)にある王立魔術研究機構に勤めていた。
元々彼は学者肌のため、有事とは言え最前線で魔砲兵器の硝煙にまみれながら魔術攻撃を仕掛けることもあったかつての生活よりこうして清潔で静謐な環境で研究をするほうが性に合っていたからだ。
そう、彼は今とても満たされた生活を送っていた。
その日もコーエンは開発中の魔法陣に使う資料を山ほど抱えながら、魔術機構の研究棟内にある古代文献管理室から隣接する居住棟の自室に向かって歩いていた。
日の入り後は精霊灯が優しく照らす渡り廊下に差し掛かった彼の耳に、普段とはまた違った外の喧騒が飛び込んでくる。
「平和祈念祭か…もう十回目になるな」
その日は大戦の終戦後に大陸全土の国家間で締結された、平和祈念条約の風化を恐れた民衆による『忘れないための祭』が各国の首都で行われていた。
もちろんイリュシエラも例に漏れず条約を締結しているため、エルシエラではこうして祭が行われて今回で十回目を数える。
「夕飯は外にしようかな」
外の屋台は交流のある他国の料理を扱ったものも多数存在する。そして彼の好物を扱っている屋台も出店していた。
コーエンは昔遠征先で食べたシン国の「ちまき」を思い出し、口角から垂れそうになる唾を飲みながら改めて自室に急いだ。
======================
「一週間後はめでたい祭だ…その騒ぎに乗じてこの兵器を盗み出して欲しい。メゾーソの旦那なら簡単だろう?」
「この程度なら問題ない。封印された状態なら安定してるだろうし」
「そうだ。多少乱暴に扱っても構わない。報酬も先程提示した額で回答を貰えて良かったよ」
「んじゃ、身分の手配も大丈夫ってことで」
「もちろん、祭の臨時バイト警備員で外は好きに動ける、機構内は新規募集の清掃員になってもらう」
「ほぅ、かなり都合が良い…まあそこまでしても欲しいってことか」
「ああ、ぜひとも手に入れたい」
大きさは手の平に収まる程度、重さは200g前後の緑の立方体。
正式名称はなくキューブ・箱と呼ばれている。
戦前にイリュシエラのある研究機関で開発されたものである。その秘匿性から開発者は暗殺され、破壊処分さえ発動の引きかねになりかねない不安定な兵器自体も封印され歴史の闇に葬られた。
…はずだった。
「では一週間後、この場所で」
「了解した。それじゃまた、巨人トロールの旦那」
======================
「コーエンちゃん久しぶりねぇ」
「ちゃん付けはもう止めて下さいよ…25歳なのに恥ずかしいですよ」
「…もう10年経つのねぇ…ここに屋台出すのも十回目だし、15だったコーエンちゃんはもう25だし…」
「同じようなこと去年も言ってましたよね」
「そういうコーエンちゃんも毎年おんなじような返しするじゃない」
コーエンが目当てにしている屋台は、昔遠征先でお世話になったシン国の中華料理屋の奥さんが出店しているものだった。
「はい、5種類1個ずつね。おまけに今年から店で出そうと思ってる新作入れといたわよ」
「また一年間これが食べれなくなるのは寂しいですね…でも保存はきかないし…」
「こっちに旅行に来れば良いじゃない」
「……ええ、いつか」
一般には知られていないが、高い技術を持つ魔術師は情報漏れが危険視される国防の観点から簡単に旅行が出来ない。魔術師クラスになると魔法使いとは違い希少価値の高い人材=人的兵器とみなされるからだ。魔術で成り立つ国と言われているイリュシエラでは特に厳しかった。
「それじゃあまたね。次会うときには恋人くらい作っとかないと結婚出来なくなっちゃうわよ」
「…頑張ります。奥さんもお元気で」
======================
「ここが王立魔術研究機構か…」
(…兵器は存在しないことにされてるからな、こんな簡単な場所に隠すのも納得だ)
決められた手順で予定通りに目標が現在保管されている建物内に侵入する。
そこまでの手順を最短の時間行ったメゾーソの姿は、王立魔術研究機構の玄関前中央ホールに置かれた3m程度の女王 エル・シエラ像の前にあった。周りに人気はない。
女王像の台座に打ち込まれた金属製のプレートには彼女の偉業を讃える文句が彫り込まれている。
プレートの表面に軽く触れる、そして彼は清掃服のそでから予め渡されていた液体入りの瓶を取り出すと蓋を開けた。軽い異臭がするその液体をプレートと石材の間の溝に流し込む。すると10秒も経たずにプレートは剥がれた。床に落ちて音を立てられる前にそれを回収する。
プレートの下にはただの石材しかなかったが、メゾーソは何食わぬ顔でそこにナイフを突き刺す。すると石材はまるで焼き菓子の様に崩れ、その中から深緑のキューブが顔を覗かせた。
「お宝ゲットだぜ」
どこか聞き覚えのある台詞を呟くと、砕けた石材を戻してプレートを嵌め直す。あと5分もすれば液体の効果でまたピッタリと張り付くのだ。
キューブをポケットに滑りこませるとメゾーソは現場監督に清掃終了を告げに向かった。
======================
「ここらへんの精霊灯切れてるな…あとで監督に変えてもらうように言わなきゃ」
ちまきを買い込んでほくほく気分のコーエンは腕の中の袋が冷めぬうちにと足早に歩いていた。
明かりの切れた廊下の角を曲がる。
すると不注意が祟ったのか目の前に人影が現れた。
向こうも驚いた風にのけ反ったが互いに避けることが出来ずにぶつかる。
あまり運動神経の良くないコーエンはべたんと下手に尻餅をついてその痛みに呻いた。腕から離れた袋からちまきが三つばかりこぼれている。幸いちまきは笹の葉に包まれているのが通常のため、食べれないことはなかった。
ぶつかった相手はよろめく程度ですんだらしく、コーエンに手を差し延べてくれていた。
「大丈夫か?」
「はい…大丈夫自分で立てますから…」
すると人影はちまきを拾って袋に戻し始めた。
「はい、これ。すまなかったな」
「ありがとうございます」
用事でもあったのか、人影はそれだけいうとそそくさと去っていった。
======================
メゾーソは仕事中に人にぶつかるという失態の後で、廊下に明かりがついていなかったことに感謝していた。
顔を覚えられては困るのだ。
このまま仕事のために借りた部屋に戻り、三日後に依頼人にキューブを渡せば報酬が得られる。
何事もなく部屋にたどり着き、戸締まりと追跡・盗聴魔法が掛けられていないことを確認する。それも大丈夫のようだ。
メゾーソは達成感にほくそ笑みながらポケットに手を伸ばした。
生暖かかった。
「…!?」
意味が分からない。
ポケットから取り出したキューブが味付き飯を笹の葉で包んだものに変身していた。
「…なぜだ」
どこでキューブが飯に変わる要素があったのか…。
「…あいつとぶつかったときか!」
メゾーソは自身の失態にめまいがした。
「仕方ない…あいつが誰か突き止めて取り返すか…」
●続くでござる
腐要素がロストしました(´;ω;`)すみません…
続きは腐りますから許して下さい~orz
誤字、脱字はコメントでご一報下さいm(__)m