詩 ~空き缶について~ | よしさとsan'sブログ

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平凡な日常の出来事を綴りつつ自由気のままに更新中。時々フィクション

別の世界線の街角の話 例えば僕が空き缶だとしたら

誰に焦がれて生まれたんでしょう そして眠りにつく場所は

 

一緒に暮らしてみないか その声は乾いた風に消されて

十八の春に味わった絶望と 寸分たがわぬ匂いがしていた

 

どこまで高く舞い上がれば あなたの景色が見えるのかな

どれほど見知らぬ嘘をつけば この心は開かれるのだろう

 

愛について僕らは他人行儀で よく似た何かを抱きしめ合ってた

それについて結局分からぬまま よくある別れ方をしてしまった

 

 

春一番が街に吹いた 例えばそれが合図だとして

誰かに巡り合うとか何とか そんな物語を綴って欲しい

 

私は不器用だから この笑い顔が好きになれないの

出会ったばかりの春に 宝物を見つけた気がしたんだ

 

夏が齎すクールな表情 秋に深まる愛情にすら

上書きされない初めての あの笑顔がまだ恋しい

 

恋について僕らは自問自答で よくある答えを持ち寄っていた

それについてやっぱり分からぬまま 似た者同士と笑い合ってた

 

愛について僕らは分かりもしないまま 自信過剰に離れて行った

恋も愛も飲み干したまま 今はただ街角に佇んでいる