自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間”を捨てられるか (青春文庫)/岡本 太郎

小さい頃、物置として使っていた一番奥の部屋の壁になにやらおもしろいような気持ち悪いような飾りが吊るしてあった。それが太陽の塔のモチーフであるとわかったのは、岡本太郎氏がTVに派手に起用されるようになった頃だった気がする。そして実物は未だに見たことがない。
今年の春、岡本太郎展に行こうか悩んでいたまさにその日に歴史的な地震が起き、気がつけば終了。

TVで語る岡本太郎は、パワーが前に出過ぎて圧倒されて言葉の意味を考える余裕を与えさせない勢いがあった。この本を読んで、初めて岡本太郎に一歩だけ入れたように感じた。それは文字という媒体が理解のペースを調整する自由度を持ったものだからかもしれない。

考えを素直に実行し、理論ではなく体験を持ってまっすぐに芸術に立ち向かった人。
いつも前だけを見て、失敗や嘲笑を恐れずに。

親指の恋人/石田 衣良


生れ落ちた家庭で人の幸せはどのくらい決まってしまうのだろう。

誰もがうらやむ裕福な家庭に生まれながら、自分の居場所を見つけられない彼。

自らが招いたわけではない極貧の家庭で、幸薄いながら前向きに生きる彼女。

お互いが運命の相手とは思いながら、お互いの環境の差に翻弄される2人。


そして、死。


読み終わって感じるこのむなしさはなんだろう。

彼らは出会ってはいけなかったのだろうか。

全てを捨てる覚悟をする瞬間が私にも来るのだろうか。

それがもし、自分の生き様と無関係なところから避けられない形でやってきたらどうするだろうか。

そのとき、誰かと死をともにしたいと思うだろうか。


でも、死が幸せ、と思う瞬間があることを知っているから、だからこそ無性にむなしい。


シュンポシオン/倉橋由美子


この本を購入したのは一体いつだったろう。

地元の書店でバイトしていたのは高校の頃なので、たぶんその頃。

もう、いいことしか思い出せないほど昔の話である。(苦笑)


登場人物たちのあまりにインテリな会話に、3度読破挫折。

この冬休みはやることも特になかったため、なんとか読みきりました。


感想は…


インテリの会話の全てにはついていけません。(苦笑)

小説そのものの持つ空気は好きですけど。


同じような登場人物の小説は他に「ポポイ」と「よもつひらさか往還」があります。

どちらも好きな小説です。

読みやすいのは「よもつひらさか往還」のほうでしょうか。


プラトン学園 (講談社文庫 お 102-1)/奥泉 光

パラレルワールド的物語には、根底にちょっと明るいムードが漂っている、と私は思っていたりするのだが、この小説は読み進めるほど「不安」になる。

なにが現実でなにが作り物なのか。

体を捨てて永遠の存在になる、とは。


最後まで読んで、なんとなく気持ちの持って行き場がないように思われたが、この世界の捉え方は興味深い。