昨日の産経新聞に、先日「NHKスペシャル」で放映された、「無縁社会 ~無縁死3万2千人の衝撃~」について、ネット上で話題になっていると書かれていました。



実は、私もその番組は見ました。



その「無縁死」についてブログに書こうと思い、途中まで書き始めたのでしたが、あまりに暗い話だったので、書くのを止めたのでした。



その記事を読んで、ここアメブロで、どんなことが書かれているのか見てみました。



「結局死ぬ時は一人だから…」



確かに、家族に囲まれていても、友人に見守られていても、死んで行くのは一人です。



でも・・・。



私がこの番組を見たのも、そのことで一度はブログに書こうと考えたのも、実は、この「無縁死」を仕事で関わっていたからでした。



それは区役所の福祉関係の部署に居た時でした。



私がいた区では、平均して年間50体ほどの「身元不詳」の遺体処理をしていました。

たぶんその数では、全国でも、トップクラスに多い区だったと思います。



そのほとんどは、この番組でも少し触れていた「行旅死亡人」と言う扱いです。



これは、「行旅病人及び行旅死亡人取扱法」という、明治時代に作られた法律に該当する方々です。



昔は、旅行中に亡くなり、その身元が分からない方が今より普通にいたのでしょう。

でも、現代では、そのほとんどがホームレス、つまり路上生活者の方が多いです。

あとは、自殺した方。

首つりや川に身を投げて無くなった溺死体などです。



そして、この番組で取り上げられていた部屋で病気などで亡くなった方は、通常身元が判明する場合が多く、「行旅死亡人」ではなく、「墓地、埋葬等に関する法律」、私たちは「墓地埋」と呼んでいましたが、この法律で処理されます。



番組で部屋で亡くなった方がどうして身元不詳だったのかはっきりとはわかりませんでしたが、それなりの理由があったのだと思います。



遺体が発見されると、まず警察署に連絡が行きます。

警察で、所持品などの遺留品や、犯罪歴があれば指紋で分かるので、その身元を照会します。

その上で、死亡原因などに事件性がなければ、亡くなった場所の役所に連絡が行き、その役所が遺体の火葬や埋葬の事務処理をします。

実際の処理は、警察から依頼された葬祭業者が一切をやり、その経費を役所が負担するといった形です。

ですから、実際に遺体を見ることはありませんでした。



ただし、部屋で亡くなっている場合は、遺留品が残されていることが多く、その調査に行かなければいけませんでした。



それは、もし、遺族が現れた場合、それを引き渡さなければならないので、特に貴重品や現金・通帳などがないか、それを調査しに行くのでした。



そのほとんどは、病気などで亡くなり、発見までかなりの日数が経っているので、部屋には悪臭が立ち込め、虫がわいていることもしばしばありました。



また、首つりなどの場合は、排泄された汚物が散乱していることもありました。



もちろん、その作業をする時は、作業着に着替え手袋、マスクは必需品です。

その作業を始めてした時、庁舎に帰りシャワーを浴びたのですが、脱力感とでも言うのか、一気に全身の力が抜けるような感じがして、その後仕事にならなかったのをはっきりと覚えています。



この身元不詳の遺体は、番組で言われていた通り、火葬され埋葬されるのですが、私がいた役所では、その遺体を扱った業者にもよりますが、最初の2年~3年を個別に保管され、その期間が終了すると無縁仏として他の遺骨と一緒にされ合葬されます。



一定の保管期間を置くのは、万一身元が判明して遺族が現れた場合を考慮してのことでした。



番組でも言っていましたが、身元が判明しても、遺族が引き取りに来るのは、少なかったです。

やはり、「生前にさんざん苦労させられたから、今更引き取りたくない」と言う感じが多かったです。



ただ、中には、やっと遺族を探し当て連絡したところ、「ずっと探していました」と、新潟から弟さんの遺骨を引き取りにいらしたお姉さんがいて、そのことは記憶に鮮明に残っています。



その方は、韓国籍の方で、ある病院でエイズで亡くなりました。

外国籍の方の場合、戸籍も住民票もなく、「外国人登録証」のみです。



この「外国人登録証」は、戸籍や住民票の制度と違い、住所を移動した場合、その過去の情報の記載が義務付けられていなく、過去に遡って調べるのが困難でした。



でも、少ない情報から、少しでも何かの情報を見つけると、その役所に連絡し、台帳のコピーなどを取り寄せ、少しずつ糸を手繰り寄せ、やっとお姉さんにたどり着いたのでした。



新潟からお姉さんに役所に来てもらい、遺骨を引き渡し、弟さんが残した200万円程の預金を解約しに一緒に亀戸の銀行にタクシーで向かう車中でお姉さんが、「本当にありがとうございます。お礼に新潟の美味しいお米を送りたいので、是非住所を教えてください。」と言われましたが、当然それは許されることではないので、「仕事で当然のことをやっただけです。」と丁重にお断りしました。



この方のように、身元が判明して遺族が引き取りに来るケースは本当にまれです。

身元が判明しても、引き取られることはなく、ましてや身元不詳は、当然引き取られることはありません。



そんな方たちは、本当に底辺の方たちです。

それ以下は無いかもしれません。



そんなケースばかり処理していたせいで、私がうつ病で役所を退職した時、一気にその底辺に落ちるのではないかと、その恐怖にさいなまれました。



そんな一気に落ちることはあり得ないのですが、うつ病で完璧にマイナス思考に陥っていた私は、その恐怖に身を震わせていたことを、今でもはっきりと覚えています。



これほど悲しい死に方はありません。



死んでしまえば死に方など関係ないという方もいるかもしれませんが、そんな事を言える人は、その恐怖を知らない人なのでしょう。



この番組で取り上げたテーマは、一人寂しく暮らし、死ぬ時も一人と言う現代の影の部分を、見つめたもので、私が経験した物とは少し違う視点ですが、私も一人暮らしで、今でこそ元気に前向きに暮らしているので、あの時のような「落ちてしまうのでは」なんてことは微塵も考えませんが、死ぬ時は、「いい人生だった」と、終わりたいものです。



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