A side



 ピコンッ…


『今日、晩飯一緒にどう?』


「ひゃあっっっ!/////」

「ん?なに?どうしたの?相葉さん」


昼休み。

同僚のニノとまったりすごしてた休憩室に

突然響いた着信音。



「大変っ!に、ニノ〜!櫻井さんから連絡

来たーっ!晩飯どう?だって〜っ!」


「大変って…www。良かったじゃん?」

「………うん…。くふふ////」



うちのクリニックの昼休みは
12時から15時。
とはいえ、朝の患者さんが
結構お昼休みまでズレこむから
昼ご飯を食べ始めるのは大抵13時を

まわってる。


櫻井さんは、その時間をいつの間にか
把握してて、

俺が昼ご飯を食べ終えた頃を見計らって

連絡をくれるようになった。



それは、ほぼ毎日で

『今日は暑いね』、とか
『今日の昼飯食いすぎた』、とか

他愛もない内容だけど

俺がパッと見てパッと返せる内容。


きっと
俺の負担にならないように考えてくれてる。

それでもちゃんとこまめに連絡くれるのは

俺を気にかけてくれてる証拠で…。

そんなメッセージから
櫻井さんが
どんなに気遣いの人か、が見てとれた。


でも、今日は…


いつものそれとは
ちょっと違うメッセージ!


『晩飯一緒にどう?』…だって!


くふふふっ。


やっとだよ…。

一緒にランチしてから
やっと
ご飯に誘われた!
 
嬉しいっ!

また一緒にご飯食べようっ、て
約束したのになかなか誘われなくて
やっぱり社交辞令だったんだ、って
実はちょっと落ち込んでたんだ。


でも、違った!
社交辞令じゃなかった!

俺、ニヤニヤが止まらないよ〜!


「オーノさんに報告してきたら?」

「あ!そうだねっ!そうするっ!
ちょっと行ってくる!」


ほんっと

おおちゃん先生には感謝だよー!



コンコン… 


誰もいない病院に
ノック音が響く。

まるで俺の心臓の音が響いてるみたい。


「おおちゃんせんせ〜。入っていい?」


「ん〜。どうぞ〜」

ガラガラ…

おおちゃん先生は自分の休憩室で

食後のデザートを食べてた。


わ!今日はモンブランだ!美味しそうっ!


って、そうじゃなくて…。


「おおちゃん先生、あのね…」


「ん?どうした?」

「今日ね。櫻井さんとご飯行くんだ!」

「おーっ!そうか、良かったじゃん!」

「くふふ。おおちゃん先生のおかげだよ?」


「おいらは何もしてないぞ?」

「してくれたじゃん!あの日。
櫻井さんに、俺とランチ行けって言って
くれたからだよ!ありがとう!」

「あれはきっかけにすぎないだろ?

次に繋がるかどうかは、相葉ちゃん次第な

んだから、相葉ちゃんが頑張ったんだよ」


「きっかけがなかったら、次にも繋がらな
いもん。だから、ありがとうだよ!」

「ふふふ。まぁ、じゃ、一応
どういたしまして?、か?www」

「そうそう!」

「それなら、今日も頑張って次に繋げな
きゃ、な?」

「うんっ!」


おおちゃん先生とニノは

知っている。

俺がずっと
櫻井さんのことが好きだったってこと。


だから、俺のコトを
めちゃくちゃ応援してくれてる。


そう。

ずっと、、、


ずっと好きだったんだよ?


櫻井さん。



「よしっ!昼から仕事めちゃくちゃ
頑張ろっ!」

「頑張りすぎて、翔くんとの
デートまでにバテるなよ〜」

「で、デートっ!?////」

「デートだろ?」

「そか…。くふふ。デートだっ!」


嬉しい!
初デートだ!


「ま〜仕事はほどほどに頑張りな。
今日はデートの方が大事だ」

「あひゃひゃwww。

どっちも頑張るね!とりあえずご報告。

じゃ、またね。おおちゃん先生!」


「ふふふ。は〜い。またね」



ガラガラ…



誰もいない廊下の真ん中で


っっっしゃぁっ!!


俺は

めいっぱい


ガッツポーズした。